ウェビナーを10本のコンテンツに変える方法

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

昨今、弊社のクライアント企業様においても、見込み顧客との接点づくりや自社の専門性を伝える手段として、ウェビナーを開催する企業様が増えています。会場を用意する必要がなく、全国の参加者に情報を届けられるため、BtoBマーケティングにおいても定番の施策になりつつあります。

しかし、ウェビナーの準備には想像以上の手間がかかります。テーマを決め、登壇者を調整し、スライドを作成し、告知ページやメールを用意し、集客を行う。開催当日も配信環境を整え、司会進行や参加者対応をしなければなりません。これだけの時間と労力をかけて開催したにもかかわらず、終了後は録画データを保存したまま、ほとんど活用されていないケースが少なくありません。

これは非常にもったいないことだと弊社では感じています。ウェビナーには、登壇者の知識やノウハウ、顧客が抱えている課題、具体的な解決策、参加者から寄せられた質問など、コンテンツの素材となる情報が大量に含まれています。少し切り口を変えたり、媒体に合わせて編集したりするだけで、アーカイブ動画、コラム記事、短尺動画、SNS投稿、メールマガジン、営業資料など、さまざまな形に展開できます。

毎回ゼロから新しいコンテンツを企画する必要はありません。すでに時間をかけて作ったウェビナーを、繰り返し活用すればよいのです。本記事では、1本のウェビナーを10種類のコンテンツへ変える具体的な方法と、単なる使い回しに見せないための再編集のポイントを紹介します。ウェビナーを一度きりのイベントで終わらせず、長期的に見込み顧客を集め、育てるコンテンツ資産へ変えていきましょう。

目次

ウェビナーは「イベント」ではなく、コンテンツの原材料である

ウェビナーというと、開催日時を決めて参加者を集め、その場で情報を届ける「イベント」として捉えられがちです。そのため、開催が終わると担当者の中でも一区切りがつき、次の施策へ意識が移ってしまいます。しかし、マーケティングの視点で考えると、ウェビナーの価値は当日の配信だけにあるわけではありません。むしろ、開催後にどれだけ活用できるかによって、投じた時間や費用に対する成果は大きく変わります。

ウェビナーには、さまざまなコンテンツの原材料が含まれています。登壇者が話した専門的な知識やノウハウ、課題を解決するための考え方、紹介したデータや事例、参加者から寄せられた質問などは、見込み顧客にとって価値のある情報です。これらをテーマごとに分解すれば、コラム記事やQ&A記事、SNS投稿、メールマガジンなどへ展開できます。印象的な発言を切り出せば短尺動画にでき、スライドを整理すればダウンロード資料や営業資料としても活用できます。

つまり、ウェビナーは完成した一つのコンテンツではなく、複数のコンテンツを生み出すための大きな素材集と考えるべきだと、弊社では考えています。毎回新しい企画をゼロから考え続けるのは、担当者にとって大きな負担です。一方、一度作ったウェビナーを分解し、切り口や形式を変えて再編集すれば、少ない負担で発信量・コンテンツ量を増やせます。

参加できなかった人にはアーカイブ動画を届け、動画を見る時間がない人には記事で要点を伝え、まだ課題が明確でない人にはSNSで気づきを与える。同じ内容でも、届け方を変えれば接点を持てる相手は広がります。ウェビナーを一度きりのイベントとして消費するのではなく、長く使えるコンテンツの原材料として捉えることが、これからのマーケティングには必要です。

開催前から「二次利用」を前提にウェビナーを設計する

ウェビナーをさまざまなコンテンツに展開するためには、開催が終わってから活用方法を考えるのではなく、企画段階から「この内容を後でどう使うか」を決めておくことが重要です。何も考えずに収録した動画は、話が長くなったり、テーマが頻繁に切り替わったりして、記事や短尺動画へ編集しにくいことがあります。

まず、ウェビナー全体を複数の小さなテーマに分けて構成しましょう。例えば、「よくある課題」「原因」「解決方法」「実践のポイント」といった形で章立てしておけば、それぞれを独立した記事やSNS投稿として切り出しやすくなります。一つのテーマについて長く話し続けるのではなく、10分程度のまとまりを意識することも有効です。

スライドも、当日の説明がなければ理解できないものではなく、単体で見ても要点が伝わるように作成しておきます。各スライドに一つのメッセージを置き、見出しや図解を分かりやすくしておけば、ダウンロード資料や営業資料への転用もしやすくなります。

また、参加者から事前に質問を募集したり、当日の質疑応答の時間を十分に設けたりすることも大切です。実際に寄せられた質問には、見込み顧客が抱えている疑問や不安が表れています。質問と回答を整理すれば、Q&A記事、FAQ、メールマガジンなどのよい素材になります。

さらに、登壇者や共催企業に対して、録画映像、発言、スライドを二次利用する可能性を事前に伝え、利用範囲を確認しておくことも大切です。開催後に許可を取り直そうとすると、公開が遅れたり、利用できなかったりすることもあります。ウェビナーを一度きりの配信ではなく、複数のコンテンツを生み出すための収録機会と捉え、企画、構成、スライド、権利確認まで含めて設計しておくことが、効率的な二次利用につながります。

1本のウェビナーを10本のコンテンツに変える具体的な方法

1本のウェビナーには、登壇者の発言、スライド、質疑応答、参加者の反応など、さまざまなコンテンツの素材が含まれています。届けたい相手や利用する場面に合わせて再編集することで、次のような10種類のコンテンツに展開できます。

1.ウェビナーのアーカイブ動画

最も基本的な活用方法は、開催したウェビナーをアーカイブ動画として公開することです。当日参加できなかった人や、後からテーマに関心を持った人にも情報を届けられます。

アーカイブ動画をWebサイト上で公開する場合は、単に動画を置くだけではなく、視聴ページに概要や対象者、視聴することで分かることを記載しましょう。視聴申し込みフォームを設置すれば、継続的な見込み顧客の獲得にも活用できます。

2.要点をまとめたダイジェスト動画

60分のウェビナーを最初から最後まで視聴する時間がない人も少なくありません。そこで、重要な部分だけを3分から10分程度に編集し、ダイジェスト動画として公開します。

ウェビナーの結論や特に伝えたいポイントを短くまとめることで、内容を手軽に知ってもらえます。ダイジェストを見て興味を持った人を、アーカイブ動画や関連資料へ誘導する使い方も効果的です。

3. SNS用の短尺動画

登壇者の印象的な発言や、視聴者の関心を引きそうな解説部分を30秒から1分程度に切り出せば、SNS用の短尺動画になります。

「多くの企業が勘違いしていること」「成果が出ない原因」「まず見直すべきポイント」など、一つのメッセージに絞ることが重要です。字幕を付ければ、音声を出せない環境でも内容が伝わりやすくなります。

4.ウェビナー内容を整理したコラム記事

ウェビナーの文字起こしをもとに、内容を読みやすく整理すればコラム記事を作成できます。ただし、話した内容をそのまま文章にするだけでは、ダラダラと長文で読みにくくなりがちです。

重複している発言を削り、見出しを付け、必要に応じて補足説明を加えましょう。ウェビナー内に複数のテーマが含まれている場合は、テーマごとに分割し、数本の記事へ展開することも可能です。

5.質疑応答を活用したQ&A記事

ウェビナーで参加者から寄せられた質問は、見込み顧客が実際に感じている疑問や不安を知るための貴重な情報です。質問と登壇者の回答を整理すれば、Q&A形式の記事として活用できます。

当日時間が足りずに回答できなかった質問についても、開催後に追加で回答を作成すれば、新たなコンテンツになります。複数の質問をまとめて「よくある疑問に回答します」という記事にするのもよいでしょう。

6.スライドを再編集したダウンロード資料

ウェビナーで使用したスライドを再編集すれば、ホワイトペーパーやお役立ち資料として提供できます。ただし、登壇者の説明を前提に作られたスライドは、資料だけでは内容が伝わらないことがあります。

説明文を加えたり、情報を補足したりして、資料単体でも理解できる状態に整えましょう。少しだけ手を加えて加工・工夫をすることで、より価値の高いダウンロード資料になります。

7.複数回に分けたSNS投稿

ウェビナーで紹介したポイントを一つずつ分解すれば、複数回分のSNS投稿を作れます。例えば、「よくある課題」「原因」「改善方法」「注意点」「まとめ」と分けるだけでも、5回分の投稿になります。

スライド内の図やグラフを画像として活用する方法もあります。すべての内容を一度に伝えようとせず、一つの投稿につき一つのメッセージに絞ることがポイントです。

8.メールマガジンやステップメール

ウェビナーの要点を短くまとめれば、メールマガジンの原稿として活用できます。メール内ですべてを説明するのではなく、読者が関心を持ちそうなポイントを紹介し、アーカイブ動画や記事、ダウンロード資料へ誘導します。

内容を複数回に分ければ、ステップメールとして配信することも可能です。1通目で課題を提示し、2通目で原因、3通目で解決方法を紹介するなど、段階的に理解を深めてもらえます。

9.営業担当者が使うフォロー資料

ウェビナーの内容は、マーケティング施策だけでなく、営業活動にも活用できます。顧客の課題や業界動向、解決方法を簡潔にまとめた資料を作れば、商談前後の情報提供に使えます。

ウェビナー参加者へ営業担当者が連絡する際も、「先日のウェビナーのポイントをまとめました」と資料を送れば、自然なフォローができます。

10.WebサイトのFAQやサービス紹介コンテンツ

ウェビナーで寄せられた質問や、登壇者が詳しく説明した内容は、Webサイトの改善にも活用できます。よくある質問としてFAQページに追加したり、サービス紹介ページの説明を補足したりすることで、訪問者の疑問を解消できます。

参加者から繰り返し質問された内容は、Webサイト上でも説明が不足している可能性があります。ウェビナーを通じて得られた顧客の反応を、サイト改善につなげることが重要です。

このように、1本のウェビナーは、動画、記事、SNS、メール、資料、Webサイトなど、さまざまなコンテンツへ展開できます。ただし、毎回10種類すべてを作る必要はありません。自社の目的やターゲット、運用できる人員に合わせて、効果が期待できるものから優先的に取り組みましょう。

まずはアーカイブ動画、記事、SNS投稿、メールマガジンなど、比較的作りやすいものから始めるのがおすすめです。一度作ったウェビナーを分解し、形を変えながら繰り返し活用することで、一度きりのイベントを長く働き続けるコンテンツ資産へ変えられます。

単なる「使い回し」に見せない再編集のポイント

ウェビナーの内容を複数のコンテンツに展開する際に注意したいのが、単なる「使い回し」に見せないことです。録画した動画をそのまま公開し、文字起こしをそのまま記事にし、スライドの画像をそのままSNSに投稿するだけでは、受け手に新しい価値を感じてもらいにくくなります。コンテンツの二次利用で重要なのは、同じ内容を繰り返すことではなく、媒体や読者の状況に合わせて情報を再編集することです。

例えば、アーカイブ動画では、登壇者の話し方や熱量、解説の流れを含めてじっくり理解してもらうことができます。一方、コラム記事では、話の順番を整理し、重複した表現を省き、見出しや補足を加えることで、短時間で要点を把握できるようにします。SNS投稿では、ウェビナー全体を説明しようとせず、読者が思わず立ち止まる一つの気づきや主張に絞ることが大切です。メールマガジンでは、内容を詳しく説明するよりも、読者が抱えている課題を提示し、動画や記事を見たくなる導線を作ることが求められます。

二次利用とは、同じ情報をそのまま複製することではありません。元となるウェビナーの内容を分解し、届ける相手、媒体、目的に合わせて再構成することです。何を残し、何を削り、どの部分を強調するのかを考えることで、一つのウェビナーから、それぞれ独立した価値を持つコンテンツを生み出せます。

ウェビナーのコンテンツ化を継続できる仕組みにする

ウェビナーの二次利用を一度だけで終わらせず、継続的な取り組みにするためには、担当者のやる気に頼らない仕組みが必要です。開催後に「時間ができたら記事にしよう」「余裕があれば動画を編集しよう」と考えていると、日々の業務に追われ、録画データが保存されたままになってしまいます。

まず、ウェビナーの企画段階で、開催後に作るコンテンツを決めておきましょう。例えば、「アーカイブ動画、コラム記事、SNS投稿3本、メールマガジン1通までを基本セットにする」と定めておけば、終了後の動きが明確になります。すべてのウェビナーから10種類のコンテンツを作る必要はありません。自社にとって効果が高く、無理なく続けられるものを標準化することが大切です。

次に、誰が何を担当するのかを決めます。登壇者が内容を確認し、マーケティング担当者が活用方針を決め、制作担当者や外部パートナーが記事化や動画編集を行うなど、役割を分担しましょう。弊社がさまざまなクライアント企業様の現場を見てきた経験上、一人の担当者が企画、集客、配信、編集、公開まで抱え込むと、継続は確実に難しくなります。

文字起こしや要約、見出し案の作成にはAIを活用できます。動画編集やデザインも、共通のテンプレートを用意しておけば、毎回ゼロから考える必要がありません。ただし、AIが作った文章をそのまま公開するのではなく、自社らしい表現になっているか、内容に誤りがないかを人が確認することが大切です。

さらに、公開本数だけでなく、動画の視聴数、記事へのアクセス、資料ダウンロード数、問い合わせ数、商談への活用状況などを確認するようにしましょう。成果が見えるようになれば、社内でも二次利用の価値を共有しやすくなります。ウェビナーのコンテンツ化を単発の作業ではなく、企画、制作、公開、効果測定までを含む一つの業務フローとして整えることが、継続のポイントです。

さいごに

ウェビナーは、開催当日だけで役割を終える施策ではありません。テーマを考え、登壇者を調整し、資料を作り、集客して開催するまでには、多くの時間と労力がかかっています。それだけの手間をかけて生み出した内容を、一度の配信だけで使い切ってしまうのは非常にもったいないことです。

ウェビナーには、登壇者の専門知識、顧客が抱える課題、具体的な解決方法、参加者から寄せられた質問など、さまざまなコンテンツの素材が含まれています。アーカイブ動画、ダイジェスト動画、短尺動画、コラム記事、Q&A記事、ダウンロード資料、SNS投稿、メールマガジン、営業資料、WebサイトのFAQなど、届ける相手や目的に合わせて形を変えれば、一つのウェビナーを長期間にわたって活用できます。

ただし、録画や文字起こしをそのまま公開するだけでは、単なる使い回しになってしまいます。媒体ごとの役割を考え、何を残し、何を削り、どこを強調するのかを決めることが重要です。

また、二次利用を継続するには、開催後に考えるのではなく、企画段階からコンテンツ化を前提に設計しなければなりません。作成するコンテンツ、担当者、公開時期、効果測定の方法までをあらかじめ決めておけば、担当者の負担を抑えながら継続できます。

ウェビナーの開催終了は、終わりではなく、むしろ始まりです!毎回新しいコンテンツをゼロから作ろうとするのではなく、一度作ったウェビナーを分解し、再編集し、骨の髄まで活用する。限られた人員や予算のもとで継続的な情報発信を続けるには、このような「もったいない精神」がとても大切です。ぜひ、ウェビナーをその後のさまざまなコンテンツ制作に活かしてみてください!

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ株式会社)に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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