ウェブサイトで「伝えたいこと」が多すぎる会社の問題点

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

ウェブサイトに対して「自社の強みをもっと伝えたい」「新しいサービスも紹介したい」「実績も掲載したい」「採用情報も充実させたい」。このような要望が社内から次々と出てくることは珍しくありません。その結果、「せっかくウェブサイトがあるのだから、できるだけ多くの情報を載せよう」という考えになり、気づけばトップページにも各ページにも情報があふれている、というケースは非常によく見られます。

しかし、情報量が多いことと、ユーザーに伝わることはまったく別の話です。むしろ、掲載する情報が増えれば増えるほど、本当に伝えたい内容が埋もれてしまい、訪問者は「結局、この会社は何が強みなのだろう」「自分に関係のある情報はどれなのだろう」と迷ってしまいます。その迷いは離脱につながり、問い合わせや資料請求など、本来期待していた成果を逃してしまう原因にもなります。

弊社は、ウェブサイトは「情報をどれだけ載せるか」ではなく、「どの情報を、どの順番で見せるか」が成果を左右する重要なポイントになると考えています。限られた時間の中でサイトを閲覧するユーザーは、企業が伝えたいことを一つひとつ丁寧に読んでくれるわけではありません。だからこそ、情報を整理し、優先順位を付けて届けることが欠かせないのです。

実際、成果を上げている企業のウェブサイトは、決して情報量が多いわけではありません。必要な情報が分かりやすく整理され、「次に何をすればよいか」が自然に理解できる設計になっています。一方で、成果が伸び悩んでいるサイトほど、「あれも伝えたい」「これも載せたい」という企業側の思いが前面に出てしまい、ユーザー視点が薄れてしまっている傾向があります。

本記事では、ウェブサイトで「伝えたいこと」が多くなってしまう企業に共通する課題を整理しながら、なぜ情報の優先順位が重要なのか、そして成果につながる情報設計をどのように考えればよいのかを分かりやすく解説します。自社サイトをより成果につながるものへ改善するヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

目次

「伝えたいこと」が増え続ける会社に共通する課題

ウェブサイトの情報が増え続ける背景には、企業側の「より良いサイトにしたい」という前向きな思いがあります。営業部門はサービスの特徴をもっと詳しく紹介したいと考え、採用担当は会社の魅力を発信したい、広報担当は最新ニュースを掲載したいと考えます。それぞれの部署には掲載したい理由があり、どれも決して間違いではありません。

しかし、こうした要望をそのまま受け入れていくと、ウェブサイトには情報が次々と追加され、「何でも載っているサイト」が出来上がります。一見すると情報が充実しているように見えますが、ユーザーからすると、どこを見れば必要な情報が分かるのか判断しづらくなってしまいます。

「何を優先して伝えるべきか」という議論が十分に行われないことも問題です。社内では「せっかく作った資料だから」「新サービスだから目立たせたい」「役員から掲載してほしいと言われたから」といった理由で情報が追加されることが多く、ユーザーが本当に知りたい情報が後回しになってしまうケースも少なくありません。

また、一度掲載した情報は削除されにくいという特徴もあります。過去のキャンペーン情報や古いサービス紹介、更新されなくなったコンテンツなどがそのまま残り続け、サイト全体が複雑になっていきます。ウェブサイトのリニューアルを重ねるたびに新しいページが追加され、情報の整理や棚卸しが行われないまま運用されている企業も多いでしょう。

こうした状態では、企業が「伝えたいこと」は増えていても、ユーザーが「知りたいこと」はかえって見つけにくくなります。ウェブサイトは企業が伝えたい情報を並べる場所ではなく、ユーザーが必要な情報へ迷わずたどり着けるよう設計することが重要です。そのためには、情報を増やすことよりも、目的や優先順位を整理し、「本当に必要な情報は何か」を見極める視点が欠かせません。

情報が多すぎるウェブサイトが成果を下げる理由

「情報が充実していること」は企業にとって安心材料かもしれません。しかし、ウェブサイトを利用するユーザーにとっては、情報が多すぎることが必ずしもメリットになるとは限りません。むしろ、必要以上の情報はユーザーの判断を妨げ、ウェブサイトの成果を下げる原因になることがあります。

現在、多くのユーザーは検索結果や広告、SNSなどから特定のページへアクセスし、短時間で必要な情報を探しています。そのため、ページを隅々まで読むのではなく、見出しや画像、強調されたテキストなどを見ながら、自分に必要な情報があるかどうかを素早く判断しています。このとき、情報が多く詰め込まれ過ぎていると、重要なメッセージが埋もれてしまい、「何を伝えたいページなのか」が分からなくなってしまいます。

また、人は選択肢が多すぎると決断しにくくなるという性質があります。例えば、トップページに複数のサービス紹介や数多くのバナー、お知らせ、採用情報などが並んでいると、ユーザーは「どこを見ればよいのか」が分からず、行動を起こせないままサイトを離れてしまうことがあります。問い合わせや資料請求といった本来のゴールにたどり着けないのは、その典型的な例です。

さらに、情報量が多いサイトでは、企業の強みや特徴もぼやけてしまいます。サービスの特徴をすべて紹介しようとするあまり、「結局、この会社は何が得意なのか」「競合との違いは何なのか」が伝わらなくなり、ユーザーの印象に残らないサイトになってしまいます。結果として価格や機能だけで比較されやすくなり、他社との差別化も難しくなります。

ウェブサイトで成果を上げるためには、多くの情報を掲載することではなく、ユーザーが知りたい情報を、迷わず理解できる形で届けることが重要です。情報を増やすことは比較的簡単ですが、本当に成果につながるサイトを作るには、情報を整理し、優先順位を付けて「伝えるべきこと」を絞り込むことが欠かせません。そのシンプルな設計こそが、ユーザーの行動を後押しし、問い合わせや資料請求といった成果へとつながっていくのです。

成果につながるウェブサイトは「情報の優先順位」が明確

弊社が様々なクライアント企業様をご支援している中で感じる、「成果を上げているウェブサイト」の共通点は、「何を最優先で伝えるか」が明確になっていることです。掲載している情報が少ないという意味ではありません。ユーザーが知りたい情報を、適切なタイミングで、適切な順番で届けられるように設計されているのです。

まず重要なのは、「誰に何を伝えるウェブサイトなのか」を明確にすることです。例えば、新規顧客からのお問い合わせを増やしたいのであれば、会社沿革や代表メッセージよりも、「どのような課題を解決できるのか」「他社との違いは何か」「導入するとどのようなメリットがあるのか」といった情報を優先して伝えるべきでしょう。採用を目的とするページであれば、求職者が知りたい働く環境や仕事内容を中心に構成する必要があります。このように、目的によって優先すべき情報は変わります。

また、企業が伝えたい順番と、ユーザーが知りたい順番は必ずしも一致しません。企業としては会社の歴史や理念を紹介したいと考えるかもしれませんが、多くのユーザーが最初に知りたいのは、「自分の課題を解決してくれる会社なのか」という点です。ユーザーの興味や疑問に沿って情報を配置することで、自然と読み進めてもらえるウェブサイトになります。

さらに、すべての情報をトップページに詰め込む必要もありません。最初に伝えるべき内容と、詳しく知りたい人向けの情報を分けて設計することが重要です。トップページでは企業の強みやサービス概要を分かりやすく伝え、詳細は個別ページへ誘導することで、情報量を抑えながら必要な情報もしっかり届けることができます。

ウェブサイトは、企業が言いたいことを並べる場ではなく、ユーザーを目的の行動へ導くためのコミュニケーションツールです。だからこそ、「何を掲載するか」と同じくらい、「どの順番で見せるか」「何を最初に伝えるか」が重要になります。情報の優先順位を明確にすることで、ユーザーは迷わず行動できるようになり、その積み重ねが問い合わせや資料請求などの成果向上につながっていくのです。

情報整理を成功させるための実践ポイント

情報の優先順位が重要だと分かっていても、「実際に何から始めればよいのか分からない」という企業も多いでしょう。ここでは、弊社が普段クライアント企業様にお伝えしている「ウェブサイトを見直して改善ポイントを見つけるための実践ポイント」をご紹介します。

まず取り組みたいのが、サイト全体の情報を棚卸しすることです。どのようなページがあり、それぞれ何を目的としているのかを一覧にしてみましょう。すると、似た内容のページが複数存在していたり、何年も更新されていない情報が残っていたり、現在では役割を終えたコンテンツが掲載され続けていたりすることに気付くはずです。情報を整理する第一歩は、「今、何があるのか」を正しく把握することです。

次に、それぞれの情報を「残す」「統合する」「削除する」の3つに分類します。この判断で重要なのは、「社内にとって必要か」ではなく、「ユーザーにとって価値があるか」という視点です。企業としては思い入れのあるコンテンツでも、ユーザーにほとんど読まれていないのであれば、見せ方を変えたり、別ページへ統合したりすることも検討すべきでしょう。

また、アクセス解析やヒートマップツールを活用することも効果的です。実際にどのページが閲覧されているのか、どこで離脱しているのかを確認すれば、感覚ではなくデータに基づいて情報の優先順位を見直すことができます。「よく見られているページをさらに充実させる」「ほとんど見られていないページは統合する」といった判断もしやすくなります。

そして忘れてはならないのが、情報整理は一度行えば終わりではないということです。新しいサービスやコンテンツが増えれば、ウェブサイトも少しずつ複雑になっていきます。そのため、定期的にサイト全体を見直し、「本当にこの情報は必要か」という視点で整理を続けることが大切です。情報を増やすだけではなく、必要に応じて減らすこともウェブサイト運用の重要な仕事です。その積み重ねが、分かりやすく成果につながるウェブサイトを維持することにつながります。

さいごに

新しいサービスや実績、ニュースなど、ウェブサイトに掲載したい情報は次々と増えていきます。それ自体は企業が成長している証でもあり、決して悪いことではありません。しかし、その情報をすべて同じ重要度で掲載してしまうと、ユーザーにとっては「情報が豊富なサイト」ではなく、「何を伝えたいのか分からないサイト」になってしまいます。

ウェブサイトの目的は、企業が伝えたいことをすべて掲載することではありません。ユーザーが必要としている情報を、迷わず理解できるように届け、問い合わせや資料請求、商談など、次の行動へ自然に導くことです。そのためには、「情報を増やす」という発想だけではなく、「情報を整理する」「優先順位を付ける」という視点が欠かせません。

今回ご紹介したように、まずは現在のウェブサイトに掲載されている情報を棚卸しし、本当にユーザーにとって必要な情報なのかを見直してみましょう。そして、「誰に、何を、どの順番で伝えるべきか」という観点で情報を整理することで、ウェブサイトは格段に分かりやすくなります。すべての情報を一度に伝えようとするのではなく、ユーザーの知りたいことに合わせて段階的に情報を届けることが、成果につながるウェブサイトづくりの基本です。

情報整理はデザインを大きく変更したり、新しいシステムを導入したりしなくても始められます。掲載内容の順番を見直したり、似たページを統合したり、不要になった情報を削除したりするだけでも、ユーザーの印象や使いやすさは大きく改善される可能性があります。

成果を上げるウェブサイトは、「情報が多いサイト」ではなく、「必要な情報が必要なタイミングで伝わるサイト」です。もし現在のウェブサイトで思うような成果が出ていないのであれば、まずは新しいコンテンツを追加する前に、「伝えたいことが多すぎないか」「本当に優先して伝えるべき情報は何か」を見直してみてください。その小さな改善の積み重ねが、ユーザーに選ばれ、成果につながるウェブサイトへの第一歩となるはずです!

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ株式会社)に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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