数字で解けなかった課題 声を聴いたら数字が2倍になった 上級顧客行動デザイナー、松本亜也さん

新規顧客へのコミュニケーション改善などの結果、支援先企業の定期購入者数が短期間で約2倍に増加した——。2026年に開講した顧客行動デザイナー講座で上級資格初の合格者となった松本亜也さん。ウェブ制作・デザインからキャリアをスタートし、ウェブディレクション、コンテンツ制作、マーケティングへと専門を広げてきました。GA4などのデータ分析・ウェブ解析も一通り学び、多くの企業の伴走支援を手がけています。そんな松本さんでも衝撃を受けたという、顧客行動デザインの考え方とは?
(聞き手:顧客行動デザイナー講座講師・馬場晃、編集:AyaN)
ロイヤル顧客は何が違う?
馬場:顧客行動デザイナー講座を受講し、合格後に実務へ導入した施策や得られた成果はありましたか。
松本亜也さん:私が顧客行動デザインの講座で最も衝撃を受け、大好きになったのが「ロイヤル顧客になり得る、ポテンシャルの高い新規顧客を開拓する」という概念です。
これまで私は、新規顧客獲得と既存顧客のファン化(リピーター施策)を別々のプロセスとして切り離して考えてしまっていました。
しかしCRMや購買行動データをもとに深く理解してみると、長く付き合ってくれるロイヤル顧客が最初に選んだ理由や価値を感じたポイントには特徴があることに気づいたのです。
「長く付き合ってくれているファンはなぜ最初に自社を選んでくれたのか」を解き明かすことで、最初からファンになり得る新規顧客を狙ってアプローチできる。この視点を得られたことが、実務で非常に役立っています。
学んだ手法を取り入れ、定期購入者が2倍に
松本さん:私が支援しているクライアントの一つに、非常にファン(ロイヤル顧客)の多いブランドがあります。しかし、新規のお客さまがなかなか定着しませんでした。
そこで、初級で学んだアンケート設計の手法を活用しました。現在のロイヤル顧客は最初に何をきっかけに選んだのか、どこに価値を感じているのかを調べることで、選ばれている理由が見えました。それらを新規顧客へのコミュニケーションに反映した結果、定期購入に移行する方が増え、短期間で定期購入者数が約2倍に増加したのです。
定量分析を中心にされている方にとっても、初級を学ぶだけで非常に大きな価値があると感じています。
定量分析は一通りできる、難しかったのはインサイトの仮説
馬場:普段どのようなお仕事をしているのか簡単に紹介していただけますでしょうか。
松本さん:GA4やBigQueryを使用したデータ分析に加え、CRMに蓄積された顧客情報や購買行動などを分析しながら、改善施策や事業提案を行っています。拠点は北海道ですが、北は北海道から南は沖縄まで、食品・観光・製造業などのお客さま企業に対し、比較的長期にわたり伴走支援しています。また製造業を中心に、海外市場を見据えたグローバルマーケティングにも携わっています。
馬場:ウェブ解析士・上級ウェブ解析士やマーケティングテクノロジストなどで身につけてきた定量分析が松本さんの強みですね。顧客行動デザイナー講座はいかがでしたか?
松本さん:初級講座を受けて最初に難しいと感じたのは、顧客インサイトを仮説として考え、実際のお客さまの声や行動から確かめていくプロセスでした。インサイトの仮説立案は経験や主観に左右されやすく、再現性にブレが出がちだからです。
しかし、そのプロセスを経た上で、ロイヤル顧客や離反顧客など「一人を深く観察し、行動の背景にある心理を考える」という流れにたどり着いたとき、定量分析だけでは行き着かなかった深い結果(インサイト)に、初級の段階でたどり着けるようになったのです。これが非常に大きな変化でした。
上級で見えた、経営層に届く視点
馬場:さらに上級へと進んでいただきました。受けようと思ったきっかけや、実際に受講して難しかった点、手応えを感じた点などを教えてください。
松本さん:初級が非常に楽しく、すぐに実務に取り入れられたので「上級ではさらにどんなことが学べるのだろう」という純粋な好奇心が一番の動機です。
上級になると施策単位ではなく、顧客を起点としてビジネスモデル全体を設計・変革していくのが目標になります。自分の仕事のレベルがもう一段上のステージに行くなという強い感覚がありました。
具体的には、経営層や意思決定者に対して直接アプローチし、提案できるようなフレームワークが多く、自分の専門を広げる上で、非常にためになる知識が身についたと実感しています。
流れとしては「仕事をしていて知りたいことが増えるたびに、たまたまWACAにその領域の資格があり、学ぶことでそれがまた業務に還元される」と自然なサイクルができています。
一人ひとりの顔を思い浮かべ、真似できないサービス設計へ
馬場:「成果を定義し、戦略を立てる」という上流部分は、松本さんが培ってきたウェブ解析士やマーケティングテクノロジストの領域とも強く連動しますね。今後、どのような支援を展開していきたいですか。
松本さん:私は制作からこの業界に入ったので、「どう伝えるか(表現)」を考え、データ分析を始めてからは「何が起きているか(数値・現象)」を見るようになりました。しかし、その間にある「なぜその人がその行動をとったのか(顧客心理)」を理解しなければ、本質的な改善施策にはつながらないと、講座を通じて痛感しました。
私の強みは、定量と定性の両方をシームレスに行き来できることだと思っています。顧客一人ひとりの顔を思い浮かべ、声に耳を傾け「なぜそうなっているのか」を突き詰める。ここに、他社と圧倒的な差別化を生み出す源泉があると考えています。
AIでも分析やインサイト探索はかなりできるようになりましたが、一方で誰にどんな価値を届けるのか、顧客理解や判断軸がより重要になるでしょう。
私が人生において大切にしている価値観に「人と違うことは当たり前である」という信念があります。
これまでに世界50カ国以上を訪れ、多様な文化や全く異なる価値観に触れてきました。その経験から「自分にとっての当たり前は、相手にとっての当たり前とは限らない」ということを身をもって学びました。
顧客行動デザインのフレームワークを使って、顧客から深みのある定性データを引き出し、それを定量データと組み合わせる。そうすることで、他社には真似できないサービス設計、コンテンツ、広告、クリエイティブを創出できると確信しています。
今あるスキルをより確実に成果へつなげる
馬場:松本さんはどのような方に本講座をすすめたいですか。また、受講することで達成できることは何でしょうか。
松本さん:私が最も大きく変わったのは、これまでバラバラに見ていたデータや施策を、顧客の行動を軸として1本につなげて考えられるようになったことです。
現在はGA4やBigQueryで「何が起きているか」を把握し、CRMデータから「どのような顧客なのか」を追い、そして顧客の声(定性データ)から「なぜそうしたのか」を考えるアプローチをとっています。数字だけで答えを出すのではなく、顧客の背景や行動プロセスを総合的に見た上で次の施策を考えられるようになったのが、私自身の最大の変化です。
ですので、今持っているスキルをより確実に成果へつなげたい方におすすめします。
世の中にはデータ分析や広告、商品開発などの素晴らしい手法やツールが溢れていますが、なぜお客さまがその商品やサービスを選ぶのか、なぜ選んでくれているのかを深く理解することが何より大切です。
何か全く新しいことを始めるというより、これまで個別に実践してきたスキルが、顧客行動という太い軸で1本につながる感覚です。今の仕事をもう一歩深めたい、持っているスキルを事業成果に直結させたいと考えている方に、強くおすすめしたいですね。
「なぜお客さまはこの商品を選ぶのか」「なぜファンになってくれるのか」という根本的な問いに、論理的かつクリアに答えてくれるのがこの講座の考え方です。「いつも同じような施策ばかりになってしまい、ブレイクスルーできない」「提案の説得力をもう一段高めたい」と悩んでいる方に、ぜひ受講していただき、高い成果を実感してほしいです。
あとがき
松本さんは支援先企業の売り場に実際に立って、自ら接客や販売を行いながら顧客理解を深めているとお聞きしました。当事者として楽しむ姿勢と実験精神がマーケティングの根底にあります。現場の手触り感を重視し持続可能な仕組みを作るというお話、非常に本質的で素晴らしいです。
定量と定性を極めた唯一無二のマーケターとして、ますますご活躍されると期待しています。(馬場)
