「料金ページ」は作るべき?価格を掲載するメリット・デメリット

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

Webサイトで気になるサービスを見つけて、「これ、うちでも使えそうだな」と思ったとき、あなたなら次に何を確認するでしょうか。サービスの特徴や導入の流れ、実績なども気になりますが、多くの人が知りたい情報の一つが「料金」ではないでしょうか。

ところが、企業のWebサイトを見ていると、料金についてほとんど触れていないケースは珍しくありません。「料金についてはお問い合わせください」とだけ書かれていて、具体的な金額はもちろん、おおよその価格帯すら分からないサイトもあります。

もちろん、企業側にも事情があります。「競合他社に価格を知られたくない」「案件ごとに内容が違うので一律の料金を出せない」「価格だけで比較されたくない」など、料金を公開しにくい理由はさまざまです。特にBtoBサービスやコンサルティング、システム開発、制作などでは、顧客の要望によって見積金額が大きく変わるため、単純な価格表を掲載することが難しい場合もあるでしょう。

しかし、ここで一度ユーザーの立場になって考えてみてください。料金がまったく分からないサービスに対して、「とりあえず問い合わせてみよう」と思えるでしょうか。「ものすごく高かったらどうしよう」「問い合わせたら営業電話がかかってきそう」「そもそも自社の予算で検討できるサービスなのか分からない」と感じ、そのままページを閉じてしまう人もいるはずです。

料金ページは、単に価格を掲載するためだけのページではありません。ユーザーが「自分たちでも検討できそうだ」と判断し、安心して次の行動に進むための材料を提供するページでもあります。

弊社ではクライアント企業様から、「料金はどこまで公開すればよいのか?」というご質問をよく受けます。そこで本記事では、料金を掲載するメリット・デメリットを整理しながら、企業側の事情とユーザーの「いくらなのか知りたい」という気持ちを両立する料金ページの作り方について考えていきます。

目次

なぜ企業は料金をWebサイトに載せたがらないのか?

「ユーザーが知りたいのであれば、料金を掲載すればいい」と思うかもしれません。しかし、企業側からすると、そう簡単にはいかない事情があります。

代表的なのが、「案件によって料金が変わる」という問題です。たとえばWebサイト制作なら、ページ数やデザイン、撮影の有無、システム開発の範囲などによって金額は大きく変わります。弊社のようなコンサルティング、マーケティング支援なども同様です。無理に「○○万円」と掲載すると、実際の見積もりとの間に差が生まれ、「Webサイトに書いてあった金額と違う」と思われてしまう可能性があります。

また、「競合他社に価格を知られたくない」という事情もあります。料金を公開すれば、当然ながら競合も簡単に確認できます。価格設定を営業戦略の一つとして考えている企業ほど、Webサイトでの公開には慎重になるでしょう。

さらに、「価格だけで比較されたくない」という考え方もあります。本来はサポート体制やサービス品質、提案内容などを含めて判断してほしいのに、金額が目立つことで「A社は50万円、B社は70万円だからA社にしよう」と単純に比較されてしまうことへの懸念です。

営業部門から「まず商談の場を作って、その中で価値を説明してから料金を提示したい」という意見が出ることもあるでしょう。料金を公開しないことで、問い合わせを商談のきっかけにしたいという考え方です。

このように、料金を掲載しない企業には、それぞれ理由があります。そのため、「料金はすべて公開した方がいい」と単純に考える必要はありません。

ただし、ここで注意したいのは、これらの理由はあくまで「企業側の事情」だということです。Webサイトを訪れているユーザーには、また別の事情があります。料金を公開するかどうかを考えるときには、企業側の都合だけでなく、「問い合わせる前に価格を知りたい」というユーザー側の心理についても考える必要があります。

それでもユーザーは「だいたいいくら?」を知りたがっている

前章で紹介したように、企業が料金をWebサイトに掲載しないことには、それなりの理由があります。しかし、ユーザーからすれば、企業側の事情とは関係なく「結局、いくらくらいかかるの?」という疑問は残ったままです。

ここでポイントになるのが、ユーザーは必ずしも「1円単位まで正確な料金」を知りたいわけではないということです。多くの場合、知りたいのは「自社の予算で検討できるサービスなのか」という、おおよその価格感です。

たとえば、新しいマーケティングツールを探している担当者が、月額数万円程度を想定しているとします。気になるサービスを見つけても、料金がまったく書かれていなければ、月額3万円なのか、10万円なのか、50万円なのか分かりません。問い合わせて初めて「最低でも月額50万円です」と分かるのであれば、ユーザーにとっても企業にとっても時間のロスになってしまいます。

さらに、問い合わせには意外と心理的なハードルがあります。問い合わせフォームに会社名や氏名、電話番号などを入力すれば、「営業電話がかかってくるのではないか」「打ち合わせを勧められるのではないか」と警戒する人もいます。「料金を知りたいだけなのに、わざわざ問い合わせるのは面倒」と考える人もいるでしょう。

その結果、料金が分からないという理由だけで候補から外されてしまう可能性があります。せっかくサービス内容には興味を持ってもらえたのに、料金情報がないことが検討を進める壁になってしまうのです。

だからこそ重要なのは、正確な見積金額を公開できるかどうかではありません。ユーザーが「このくらいなら検討できそう」「少なくとも予算から大きく外れてはいなさそう」と判断できる情報を提供できるかどうかです。

料金情報は単なる数字ではなく、ユーザーが次のステップへ進むための判断材料です。この視点を持つと、「料金を掲載するか、しないか」だけではない考え方が見えてきます。

料金を掲載するメリット・デメリットを整理しよう

では、実際にWebサイトへ料金を掲載すると、企業側にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

まず大きなメリットは、ユーザーが問い合わせ前に「自分たちの予算に合うか」を判断できることです。価格帯が分かれば、予算が大きく合わないユーザーからの問い合わせは自然と減り、反対に「この金額なら検討できる」と考えたユーザーからの問い合わせが増える可能性があります。問い合わせ件数だけを見れば減ることもありますが、営業担当者にとっては、ある程度予算感の合った相手と商談しやすくなります。

また、料金を確認するためだけの問い合わせを減らせることもメリットです。「料金を教えてください」という問い合わせに毎回答える必要がなくなれば、マーケティングや営業の負担軽減にもつながります。

さらに、料金が明示されていること自体がユーザーの安心感につながる場合もあります。「問い合わせるまで金額が分からない」という不透明さがなくなり、サービスを比較・検討しやすくなるためです。

一方、デメリットもあります。分かりやすいのは、競合他社にも料金体系を知られてしまうことです。また、料金だけを切り取られて、「この会社は高い」と判断される可能性もあります。本来はサービス内容やサポート範囲、品質などに違いがあっても、ユーザーが金額だけを見れば、その違いまでは伝わりません。

個別見積もり型のサービスでは、掲載した金額が独り歩きするリスクもあります。「50万円~」と掲載していても、実際には条件によって100万円になることがあります。その際、ユーザーが「50万円でできると思っていた」と感じれば、かえって不信感につながるかもしれません。

つまり、料金掲載にはメリットとデメリットの両方があります。大切なのは、「掲載するか、しないか」という二択だけで考えないことです。すべての料金を細かく公開できなくても、ユーザーが予算感をつかめる方法はあります。次章では、その具体的な考え方を見ていきましょう。

「料金を載せる・載せない」の二択で考えなくていい

ここまで読んで、「料金を公開した方がよさそうだけれど、うちのサービスは案件によって金額が違うから難しい」と感じた方もいるかもしれません。しかし、料金ページを作るからといって、すべてのサービスの正確な金額を公開する必要はありません。

大切なのは、「料金を載せる」「料金を載せない」の二択ではなく、ユーザーが予算感を判断できる情報をどこまで提供できるかという視点です。

たとえば、最も取り入れやすいのが「○万円~」という最低価格を示す方法です。「Webサイト制作50万円~」「コンサルティング月額10万円~」など、スタートラインが分かるだけでも、ユーザーは自社の予算と照らし合わせやすくなります。ただし、最低価格だけが独り歩きしないよう、「内容や条件によって料金が変動します」と補足しておくことが大切です。

料金に幅があるなら、「50万~100万円程度」のように価格帯を示す方法もあります。正確な金額ではなくても、ユーザーにとっては「数十万円なのか、数百万円なのか」が分かるだけで十分な判断材料になります。

また、モデルケースを紹介する方法も有効です。たとえば「10ページ程度のコーポレートサイトの場合:80万円程度」「広告運用+月次レポートの場合:月額20万円程度」のように、条件と料金をセットで示します。これなら案件ごとに金額が異なるサービスでも、具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。

ほかにも、「ライト・スタンダード・プレミアム」のように複数のプランを設けたり、基本料金とオプション料金を分けたりする方法があります。

重要なのは、見積書と同じ精度の金額をWebサイトで提示することではありません。ユーザーが知りたいのは、「自分たちが検討できる価格帯なのか」ということです。

すべてを公開するのが難しいのであれば、まずは公開できる範囲から始めてみましょう。「お問い合わせください」の一言だけで終わらせず、判断のヒントを少しでも増やすことが、ユーザーの不安を減らすことにつながります。

問い合わせにつながる「料金ページ」に入れたい情報とは?

料金ページを作るとき、金額だけを掲載して終わりにしてしまうのは少しもったいありません。ユーザーが料金ページを見ているということは、すでにサービスに一定の興味を持ち、「自社でも利用できるだろうか」と具体的に検討している可能性があります。だからこそ、料金ページは問い合わせを後押しする重要なページとして設計しましょう。

まず掲載したいのは、「その料金に何が含まれているのか」です。たとえば「月額20万円」と書かれていても、ユーザーは、その金額でどこまで対応してもらえるのか分かりません。対応範囲やサポート内容、利用できる機能などをセットで掲載することで、金額の意味が伝わりやすくなります。

次に、料金が変動する条件も説明しておきましょう。「ページ数によって変動」「利用人数によって変動」「広告費は別途必要」など、金額が変わる要因をあらかじめ示しておけば、掲載価格と実際の見積金額に差が出た場合の違和感を減らせます。

また、複数のプランがある場合は、単に料金を並べるだけではなく、「どんな企業におすすめなのか」まで記載すると親切です。「まずは小規模に始めたい企業向け」「本格的に運用したい企業向け」といった説明があれば、ユーザー自身が自社に合ったプランを選びやすくなります。

さらに、初期費用や追加料金、契約期間、支払い方法など、問い合わせ前によく出る疑問をFAQとしてまとめておくのもおすすめです。

そして最後に忘れてはいけないのが、問い合わせへの導線です。「自社の場合はいくらになるのか知りたい」「どのプランが合っているか相談したい」というユーザーのために、料金ページから見積もり依頼や相談へ進めるCTAを分かりやすく設置しましょう。

料金ページの役割は、単に金額を伝えることではありません。価格への疑問や不安を一つずつ解消し、「もう少し詳しく話を聞いてみよう」と思ってもらうこと。そこまで設計できて初めて、問い合わせにつながる料金ページになります。

料金ページは「価格を公開する場所」ではなく「判断材料を提供する場所」

ここまで、Webサイトに料金を掲載するメリット・デメリットや、具体的な料金の見せ方について紹介してきました。

料金をWebサイトに掲載するかどうかは、多くの企業にとって悩ましい問題です。「競合に価格を知られたくない」「案件ごとに金額が変わる」「価格だけで比較されたくない」といった事情もあるため、すべての企業が明確な料金表を公開できるわけではありません。

一方で、ユーザーにとって料金は、サービスを検討するうえで重要な情報です。サービス内容に興味を持っていても、価格がまったく分からなければ、「自社の予算で利用できるのだろうか」「問い合わせて、想像以上に高かったらどうしよう」と不安になり、問い合わせる前に候補から外してしまうかもしれません。

だからこそ、料金ページを作るときは、「正確な価格をどこまで公開できるか」だけで考えないことが大切です。

「○万円~」と最低価格を示す、価格帯を掲載する、モデルケースごとの参考料金を紹介するなど、正確な見積金額を出せなくても、ユーザーが予算感をつかむ方法はあります。さらに、料金に含まれる内容や金額が変動する条件、追加費用なども説明すれば、より安心して検討してもらえるでしょう。

料金ページは、単なる「価格表」ではありません。ユーザーがサービス内容と価格を照らし合わせ、「自社に合っていそうか」「予算的に検討できそうか」を判断するためのページです。

もし現在のWebサイトが「料金についてはお問い合わせください」だけになっているのであれば、一度ユーザーの立場で見直してみてはいかがでしょうか。

すべてを公開する必要はありません。ユーザーが次の一歩を踏み出すために、どんな判断材料なら提供できるのか。その視点で料金ページを考えることが、問い合わせへのハードルを下げ、企業とユーザー双方にとって納得感のある出会いにつながっていくはずです!

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ株式会社)に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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