
「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深掘りするインタビュー。96人目は、アパレル業のマーケティング・EC部門で分析と戦略立案を担う実践派マネージャーの山極 貴之(やまぎわ たかゆき)さん。資格取得に向けた独学の努力と、知識を現場に活かす具体的な取り組みについて語っていただきました。
(インタビュー:チーフSNSマネージャー 毛利 美佳、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
EC現場での分析と戦略を担う日々
――自己紹介をお願いします。
山極貴之さん(以下、山極さん):株式会社クロシェの山極と申します。レディースアパレルを展開する企業で、マーケティンググループ、ウェブ&ECチームのマネージャーを務めています。
――どんな業務を担当されているのですか?
山極さん:弊社が運営する楽天市場、Yahoo!ショッピングなどECモールの運営管理、戦略立案、マネジメント等、全体統括を担当しています。資格に関連する業務でいうと、GoogleアナリティクスやCRMを使って顧客分析、戦略立案、実行なんかも私の担当業務です。
――お客様はどのような層が中心ですか?
山極さん:40〜50代の女性が主なターゲットです。弊社で人気のアイテムが「falfalle(ファルファーレ)というバレエシューズで、実店舗とECで展開しています。お客様の傾向として、百貨店で接点をもったのち、ECへ流入される方が多い印象ですね。
――実店舗とECのユーザー経路をしっかり把握されていて素晴らしいです。
山極さん:ECサイト、メルマガのファネル分析など、事業のボトルネックを探す際に、資格で得た知識・経験が役立っていると感じます。チームメンバーへの勉強会でも、ウェブ解析士テキストの一部を活用してチームにも普及させようとしているところです。
独学で足りない「体系的な知識」と「手を動かす機会」
――資格を知ったきっかけは?
山極さん:数年前の商談で、上級ウェブ解析士の方から資格の存在を知りました。商談先が上級ウェブ解析士をお持ちだったんですね。
とはいえ、資格取得したからといってすぐ何かできることが増えるわけではなく、上級取得の費用もかかる点で、3年くらい悩んでいました。
そんな折、ウェブ解析士マスターの方とお話する機会があり、学習の内容や協会のコミュニティの魅力を聞いて、取得に踏み切りました。
――すでに一定の知識・経験をお持ちだったのではないかと思います。それでも資格が必要だと思った理由は?
山極さん:Google アナリティクス、サーチコンソール等、一通りのツールは独学で6年ほど使っていました。ただ、デジタルマーケティングを「わかる」から、「できる・使える」というフェーズに行きたい思いもあったんですね。
上級ウェブ解析士認定講座は、独学では気づかなかった細かい設定、生かし方を学び、実際に手を動かす良い経験になりました。独学だけではツールの基礎しか理解できていなかったと、あらためて気づかされましたね。
伝わり、動かすレポーティングの経験ができた
――資格学習の中で、仕事に役立つと感じた知識はありましたか?
山極さん:今回得た知識・経験のなかでも、特に「レポーティング」の考え方が、今後大きく生きると感じました。
――具体的にはどのような点ですか?
山極さん:事業会社での業務では、スプレッドシートやGoogleスライドなど簡易的な形式による報告が主流でした。ウェブ解析士で取り上げられるような、数十ページにも及ぶ「本格的なレポート」を作る機会はありません。
仮説の構築からデータ分析、施策提案までを論理的に組み立てていく経験は初めてで、とても勉強になりました。
――確かに、このレベルのレポートを社内向けに作る事業会社は少ないかもしれませんね。
山極さん:そうなんです。これから先、社内だけでなく社外にもきちんと伝える力、根拠を持って人を動かす力が重要になると思っています。伝える基礎を資格で学べたことは、大きな収穫でした。
――分析だけでなく、「伝える力」も仕事に必要ということですね。
山極さん:まさにそうです。ただの数字の羅列ではなく、意味のあるレポートとしてアウトプットできる力が、仕事を前に進めるために不可欠だと思います。そのための分析力をつける意味で資格が役立ったと感じています。
――ありがとうございます。最後に、これから資格取得を考える方へメッセージをお願いします。
山極さん:「ウェブ解析士」という名前から、ウェブやアクセス解析に特化した資格のように思われると思います。私もそういうイメージを持っていました。
ただ、デジタルマーケティングに関わっていると、デジタルに関わりが薄い業界・業種であってもウェブ解析士の知識が必要不可欠な時代なのではと感じます。ぜひ、いろいろな方に受験を勧めたい資格です。
あとがき
山極さんのように実務の中で日々ウェブに携わっている方にとっても、資格を通じて得られることが十分にあるのだということが印象深いお話でした。またレポート作りにおいて「根拠を持って人を動かす力が重要」という話を伺い、私自身もレポート・提案書作りのあり方に気づかされました。内に秘めた熱い想いを持つ山極さんの今後ますますのご活躍を楽しみにしております!
関連リンク
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