
ウェブ解析士協会会員の働き方・活動を深掘りするインタビュー。104人目は、仕事・プライベートの両方でウェブ解析を実践する上級ウェブ解析士の徳留 康矩(とくどめ やすのり)さん。事業会社のデジタルマーケティングに加え、ご友人の音楽教室での広報支援や、行きつけのクラフトジン専門店でオウンドメディア運営など、幅広く活躍されています。公私ともに楽しみながらデジタル支援を続けてきた背景と、資格を得てよかったことをお話しいただきました。
(インタビュー、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
公私もジャンルも超えて、課題に応えるデジタルマーケター
―― 普段はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
徳留さん: 業務用の映像機器を輸入販売している会社で、ウェブマーケティングを担当しています。
――具体的にどのような業務を?
徳留さん: お客さまとのエンゲージメントを高めるために、営業チームと協力しながらコンテンツ企画、コンテンツの分析、メルマガの作成、ウェブサイトの運用のほか、各部門の業務連携を円滑にするアイデアなど、DX領域も少し関わっています。
――先日、ご友人の音楽教室の支援事例をウェブ解析士ナレッジでご紹介いただきました。プライベートでもデジタルマーケティングに関わっているのですね?
徳留さん:はい。ナレッジで紹介した音楽教室以外にも、行きつけのクラフトジン専門店のオウンドメディア運営や、ウェブ解析士協会の活動にも参加しています。
――活動の幅が広いですね! 音楽教室やクラフトジンの支援は、どのような経緯で始められたのですか?
徳留さん:私はもともとバンドをやっていたのもあって、音楽関係の友人が多いんです。その一人が「音楽教室を立ち上げたいから、ウェブサイトを作りたい」と相談してくれたのがきっかけで、SEOとコンテンツ企画の相談に乗りました。
▼関連記事

徳留さん:クラフトジンのオウンドメディアは、私のお酒好きが高じて参加しました(笑)。行きつけのお店が、900種類ものジンをそろえるお店で、常連の運営メンバーにウェブ関係者が多かったんです。
気づけば「クラフトジンを飲む人を増やす」というコンセプトに共感し、コンテンツ作成と分析という立場で参加していました。
▼関連サイト

――ウェブ解析士を知ったきっかけは何だったのでしょうか?
徳留さん:もともと独学でSEOに取り組んでいましたが、今後のキャリアプランを考えると、SEOだけでは広がりが薄いと感じていました。
加えて、ウェブ専門の支援会社に勤めているわけではないので、自分の知識に不安があったんです。
ウェブマーケティングを網羅的に学べる資格を探して、ウェブ解析士を見つけました。
――2023年に上級ウェブ解析士と初級SNSマネージャーをまとめて取得したのは、何か理由があったのですか?
徳留さん:はい。ウェブ解析士の資格勉強で、専門用語や基本的な概念は理解できました。ただ、上司やお客さまに説明するなら、もっと実践的なスキルが必要だと感じたんです。
説得力のある資料の作り方や、数値の解釈の仕方など、地道で泥臭い部分を、上級ウェブ解析士で学べると期待して受けました。
初級SNSマネージャーに関しては、ウェブ解析士を取得した後、SNS運用の質問や相談を多く受けたんです。自分のSNSの知識にも偏りを感じていたので、この機会に体系的に学んでみようと思い取得しました。
資格と興味関心のかけ算が、自分らしい価値提供になる
――資格を取得してみて、何か影響はありましたか?
徳留さん:まず、社内のコミュニケーションによい影響があったと思います。
前職では、内見案内などの不動産営業をしながら、そこで気付いた内容をコンテンツ化していました。当時は記事を量産するのが良しとされていたのもあって、気づけば2年半で700本ものウェブ記事を書き、改善し続けるコンテンツマーケティングを担当していたので、GA(Google アナリティクス)で分析するのは当たり前だと思っていました。
その後、現職に転職し、社内メンバーと話すうち、周りは自分が思うほどデータを見ていないと気づいたんです。
――事業会社でよくある話かもしれませんね。
徳留さん:そこで、営業部門や技術部門がお客さまに伝えたいことをSEO的な解釈を加えて翻訳する形で記事化しました。また、アクセス解析の結果も「この記事は〇〇人に、約〇分間読まれていますよ」と、わかりやすい言葉でフィードバックしてみたんです。
すると、コンテンツが必要な人に届いている感触が伝わったようで、社内メンバーの意欲が見られるようになりました。
――データの翻訳、まさにウェブ解析士の大事な仕事ですね!資格で特に役立ったと感じた学びは何ですか?
徳留さん:「情報の取捨選択ができるようになったこと」ですね。
分析可能なデータはたくさんあります。ただ、情報を出しすぎると、かえって相手を混乱させてしまいます。
「今、優先すべきことは何か」「本当に必要なデータは何か」を取捨選択し、情報を絞る思考が身についたのは大きな収穫でした。
事業と関係のない指標による議論の脱線が減り、本質的な部分に集中できるようになったと思います。
――上級ウェブ解析士と初級SNSマネージャーをまとめて取得するメリットを挙げるとしたら、何だと思いますか?
徳留さん:ウェブ解析も、資格も、あくまでツールです。それを使って「何を成し遂げたいか」が重要ですよね。
資格は、かけ算です。例えば、「ウェブ解析」×「SNS」×「AI」のように、複数の知識を組み合わせることで、その人にしか出せない強みになります。
私の場合、資格に「お酒(クラフトジン)」や、「温泉ソムリエ」も加わります。このかけ算によって独自の価値を提供できるのが、複数資格を持つことの最大のメリットではないでしょうか。
協会活動でつながる、心強い専門家ネットワーク
――ウェブ解析士協会の地方DX委員会は、どのような活動ですか?
徳留さん:地方DX委員会では、全国の商工会議所や市役所でセミナーや相談会を開催しています。
地域によって、ウェブやSNSの相談をしたいけど、どこへ相談すべきかわからない課題があると思います。そこで、私たちウェブ解析士が専門家として支援する取り組みです。
私は、何人かのメンバーで茨城県つくば市のデジタル相談員として、事業者の方々の相談に応える活動をしています。

――月2回、相談室として常設されていると安心感がありますね。一方で、関東支部の運営は、どのような活動ですか?
徳留さん:ウェブ解析士協会は全国に6つの支部があります。会員のみなさんとの接点を生み出すセミナー・イベント企画が主な活動です。
メンバーは個人事業主や、私のようにプライベートでも活動する方が多いです。お互いの悩みを共有したり、トレンドを追いかけたりしながら、知恵を出し合って運営しています。

――協会活動に参加して、よかったことは何ですか?
徳留さん:一番は、横のつながりができたことです。
私たちウェブ解析士自身も、困ったときに誰に相談すればいいのか悩みます。
活動のなかで先輩方に相談すると、解決のアドバイスをいただいたり、その領域に詳しい方をつないでもらえたりします。常に刺激を受けられるよい環境だと思いますよ。
――一方で、活動する上で大変なことはありますか?
徳留さん:スケジュール調整ですね。会社業務との両立に加え、総務・経理関係の事務作業も自分でやらなければならないのは少し大変です。
専門用語は翻訳しよう! 相手に伝わる言葉でDX支援を
――徳留さんがDX支援で意識していることはありますか?
徳留さん:「専門用語を翻訳すること」を徹底しています。
ウェブやマーケティングの世界は専門用語が多く、とっつきにくい印象を与えがちです。私自身、この業界に入る前はマーケターが話す言葉が、まったく理解できませんでした。その経験から、専門家が専門用語を並べるだけでは何も伝わらないと痛感しています。
相手に伝わる言葉で話す。非ITの事業会社にいる経験が非常に役立っていますね。
――とても大切な視点ですね。では、徳留さんの今後のビジョンを教えてください。
徳留さん:今、一番興味があるテーマは「地方・地域のコンテンツとIT」です。日本各地には、お酒や温泉など、その土地ならではの素晴らしいコンテンツがたくさんありますよね。
でも、発信方法がわからなかったり、後継者がいなかったりして、消える文化も少なくありません。
以前、あるコンサルタントの方が「東京には、お金と人はいるが、コンテンツがない。地方には、お金も人もないが、コンテンツは山ほどある」と話していたのが心に残っていて……。
そうした価値あるコンテンツをなくさないために、何ができるか考えています。

▼関連記事

徳留さん:単に支援するだけでなく、最終的にその地域の人々が自分たちの力で事業を継続できる仕組み作りが重要です。そのお手伝いをしていきたいですね。
――素晴らしいビジョンですね。では最後に、これから資格取得を考えている方へメッセージをお願いします。
徳留さん:この資格は、「ウェブ解析」の字面から、解析業務だけを行うイメージがあるかもしれません。実際は、ウェブマーケティングの基礎から実践まで幅広く学べる資格です。特に独学でやってきた方にとっては、ご自身のスキルチェックとして非常に有効だと思います。
資格を取得すれば肩書きが増えます。キャリアの幅を広げる意味でも、結果的にお得な投資になるのではないでしょうか。
あとがき
「お酒の取材は酔うまでが勝負なんですが、誰が読み手になるのかだけは酔っていても常に考えているんですよ。」と語る徳留さん。活動的でありつつ、しっかり記録するコンテンツ力は凄まじいものを感じます。オウンドメディアは継続が難しい上、成果までの道のりが長い媒体です。しかし、徳留さんの支援したメディアはどれも読者をワクワクさせるものばかり。コンテンツ運用のヒントが見つかると思いますので、参考にしましょう!
関連サイト
不動産のオウンドメディア 暮らしっく不動産:https://www.kurachic.jp/
クラフトジンのオウンドメディアGinYa MEDIA :https://ginya-media.com/
初心者専門音楽教室 LiveArt音楽教室:https://live-art-music.jp/
