
BMWの営業からIT業界へ。未経験で飛び込んだ世界でつかんだ共通項は「人を動かす力」だった――。「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深掘りするインタビュー。106人目は、ウェブ解析士マスター・世良 直也(せら なおや)さん。営業畑で20年のキャリアを築いてきた彼は、「営業こそウェブ解析士を学ぶべき」と断言します。専門知識ゼロからのスタートで知った業界特有のわかりづらさと、資格がキャリアにもたらした変化を伺いました。
(インタビュー、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
リーマン・ショックを乗り越えて、感情に寄り添う営業を意識してきた
――世良さんのこれまでのキャリアを教えてください。
世良さん:社会人になって20年間、ずっと営業職をしてきました。BMWの営業からスタートして、30歳でIT業界へ転身。現在は外資系CMSベンダーに勤務しています。
――ウェブ解析士のなかでは、珍しいファーストキャリアじゃないかなと思います。どのような経験を積みましたか?
世良さん:実は、入社したのが2008年。リーマンショックが起きた年でした。ハイオクガソリンが1Lあたり200円を超え、ハイブリッド車の人気が高まり、高級輸入車販売は厳しい局面に立たされていた時代です。
お客さまは経営者が中心で、「収入が3分の1になった」なんて話を間近で聞く日々でしたね。
――社会人1年目としては、かなり厳しいスタートですね。
世良さん:そうですね。精神的にタフで辛い経験ではありましたが、今振り返ると人生のあらゆるシーンで、あの経験が生きていると思います。
――具体的にどんな経験でしょうか。
世良さん:最初にBtoC(対個人)の営業を経験できたのは、私のキャリアで大きな価値だったと思います。
組織であろうと個人であろうと、相手は「人」です。その人の感情にどう寄り添って、一緒に未来を描くか。基本的な考え方を学べたのが、今の礎になっています。
――その後、IT業界に転職したきっかけは何だったのでしょうか。
世良さん:きっかけ自体は、そんなに立派な理由じゃないです(笑)。結婚して子どもが生まれて、地元静岡へ戻ることになったんですね。地元で仕事を探し、たまたま見つけたのが、株式会社Geolocation Technorogy です。
――未経験業界へ飛び込んだのですね。入社後はいかがでしたか?
世良さん:当時はもう、何を言っているのかわからなくて(笑)。
IPアドレスのデータベースを提供して、ウェブマーケティングやセキュリティに活用する技術が強みで、IT業界でもニッチな領域を扱うのですが、説明の一単語目すらわからず、「これはまずいぞ」と焦りました。
――そこでウェブ解析士の資格取得を?
世良さん:はい。会社の推薦もあって、ウェブ解析士を受講しました。それが知識の土台になりましたね。
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IT業界は不親切。情報をわかりやすく、面白く伝えたい。
――上級ウェブ解析士を目指したきっかけは?
世良さん:当時、ウェブ解析士は「初級ウェブ解析士」が正式名称でした。この「初級」っていう響きが、なんかカッコ悪いなと思いまして(笑)。上を目指そうかな、と思ったのがひとつ。あとは、経験を補う実務的な能力を学びたかったんです。
――上級を取得して、実際にどんな変化がありましたか?
世良さん:自己紹介で「上級ウェブ解析士です」と伝えたとき、取得前よりも反応が変わったと肌で感じました。
営業にとって、お客さまの信頼獲得は一番大変で、時間がかかるんです。それが最初のつかみで、お客さまがぐっと腰を上げてくださるんですね。営業活動がしやすくなりました。
――資格が、信頼の証しになったんですね。
世良さん:そうなんです。上級ウェブ解析士で学べることって、すごく実務的で、お客さまへの提案書にそのまま反映できるので、計画立案の質や提案の具体性が明らかに上がりました。
根拠とロジックをしっかり組み立ててプランニングができれば、周囲の納得度が変わりますし、質問にも自信を持って回答できるようになりますよ。
――さらに、ウェブ解析士マスターを目指した理由は何だったのでしょうか。
世良さん:マスターを目指したのは、知識よりも、人とのつながりをもっと濃くしたいと思ったからです。
組織や地域の枠を越えて、もっともっとすごい人に会いたいなって思ったんですよね。
ウェブ解析士マスターの知人たちから、講座やコミュニティの話を聞いていたので、人とつながりながら自分をアップデートする良い機会になると思って受講しました。
――マスター講座で得られた、もっとも大きな価値は何でしたか?
世良さん:一番は、先ほどお伝えした人とのつながりです。3〜4カ月間、13人の同期と切磋琢磨した経験が、変えがたい財産になりました。
――そのつながりは、今も続いていますか?
世良さん:はい。マスター取得後も同期とのつながりは強く、今でも一緒に講座開催やイベント企画をしています。
家族とも、会社組織とも異なる人間関係と、可能性が広がる場ってすごく貴重です。
――マスターとして活動するなかで、普段から意識しているスタンスや心がけはありますか?
世良さん:そんなに立派なものはないんですけど(笑)、普段、心がけている言葉はあります。「難しいことはわかりやすく、わかりやすいことは面白く、面白いことは深く」です。
――その言葉を大切にする理由は?
世良さん:難しいことを説明するって、一見カッコいいんですけど、親切じゃないなと思うんです。
私自身、IT業界に未経験で入ったとき、「IT業界、不親切だな」ってすごく感じたんですよ。すごくシンプルなことを、わざわざ回りくどく難しい言葉で、カタカナばっかり使って説明して初心者に優しくない。
――確かに、ITの専門用語をそのまま使うと、わかりづらいですよね。
世良さん:だから私は、難しいことをどれだけわかりやすく伝えて、その面白さを見つけてから追求する順番を大切にしています。
事象を個別に噛み砕いて、そのなかから面白さを見つけて、追求する。これは仕事でも、自分自身のキャッチアップにおいても、常に心がけていることです。
営業こそウェブ解析士を。「人を動かす力」を学ぼう!
――営業とウェブ解析は、少し遠い分野だと思う方もいらっしゃるかもしれません。世良さんは、営業におけるウェブ解析をどのように捉えていますか?
世良さん:私は、営業こそウェブ解析士をもっと受けたらいいのに、と本気で思っています。
ウェブ解析士で学べる知識を突き詰めると、「どうやったら人を動かせるか」にたどり着きます。
――人を動かす力、ですか。
世良さん:はい。営業にとって一番重要なことです。
お客さまにしても社内にしても、自分が目的を持ってやりたいことに対して、周りに協力者を得て、相手を動かす。これらをどう実現するか学べるのがウェブ解析士です。
ウェブ解析の方法が学べると思われがちなんですけど、もっと広い領域を扱うんです。「どうすれば、あなたの提案でお客さまが動いてくれるようになるか」を学べますよ。

――最後に、これから資格取得を検討している方、上位資格を目指したい方へメッセージをお願いします。
世良さん:とにかく、人とのつながりをたくさん作ってほしいですね。
知識なんて今の時代、ググったら3秒で出てくるし、AIが教えてくれます。知識は、あくまで基礎体力であって、最終的には人のつながりです。
――資格取得の過程で出会う講師や、取得後の出会いは影響が大きいですね。
世良さん:そうです。自分の可能性を広げるのは人であり、コミュニティであり、どれだけの人とつながっているかだと思います。
ウェブ解析士は、ほかの資格と比べてコミュニティ活動が活発な資格です。いろんなポジション、立場、知識、経験を持っている方と一線でつながれるチャンスがあります。
資格を取ったらおしまいではなく、資格で得た知識が共通言語になって、いろんな人とつながれるスタート地点です。
ウェブ解析士、上級、マスターと三段階あって、上位資格ほどつながりは濃くなります。どんどん上を目指して、自分自身をアップデートしながら、人の輪を広げていってください。
あとがき
世良さんのウェブ解析士講座は試験対策ではなく、実務に使える知識を伝えて、そっと背中を押してくれるスタンスが特徴です。学びから行動を促す導線が丁寧に用意されています。営業として20年培ってきた「人を動かす力」が、講座の随所ににじみ出るものですので、営業職の方には特におすすめです。
