SNS月次レポートの作成工数を劇的削減!生成AI×Googleツールで実現した「半自動化」の舞台裏

月末月初、SNS運用の担当者を深く悩ませる「月次レポートの作成」。 各プラットフォームからデータをダウンロードし、スプレッドシートに転記して、グラフの体裁を整える……。膨大な時間がかかるうえに、「あの人じゃないと数字の集計方法がわからない」といった属人化に陥りがちな業務の筆頭です。

今回、私たちはこの課題を解決するため、生成AIを活用して月次レポートの作成プロセスを半自動化するプロジェクトを実施しました。本記事では、コストをかけずにGoogleツールのみで構築したその取り組みの裏側と、プロジェクトを通して得られた「AI活用における真の課題」について共有します。

目次

1. 背景と課題:月末の数日間を奪う「属人化」と「膨大な単純作業」

SNSの運用プラットフォーム(X、Instagram、Facebookなど)は多岐にわたり、それぞれアナリティクス画面の仕様が異なります。 これまでは、特定の担当者が手作業で各SNSからデータを抽出し、見やすい形に成形してレポートを作成していました。

この運用には2つの大きな課題がありました。

  • 膨大な工数による圧迫:単なる「コピペや集計作業」に時間を奪われ、本来注力すべき「分析」や「次の一手の立案」にリソースを割けない状態でした。
  • 属人化の極み:「この指標はどう計算するのか」「イレギュラーなデータはどう処理するのか」といったノウハウが担当者の頭の中にしかなく、引き継ぎや担当者不在時の対応が極めて困難でした。

2. 改善提案:目指したのは「誰でも・簡単に」レポートが湧き出る仕組み

これらの課題を解決すべく、私たちは「誰が担当になったとしても、簡単な作業だけでレポートが生成される仕組み」の構築を目指しました。

大規模なシステム開発を外注するのではなく、「担当者が各SNSのアナリティクスデータを指定のフォルダに放り込むだけ」という極めてシンプルなオペレーションに落とし込むことを提案。作業の属人化を排除し、レポート作成にかかっていた工数を抜本的に削減する設計です。

3. 実際にやったこと:生成AIを相棒に、Googleツールだけでゼロ円構築

この仕組みをどうやって低予算で実現したのか。最大のポイントは「生成AIのフル活用」と「あえての“半”自動化」です。

  1. 「半自動化」という現実的な選択 API連携等による「完全自動化」は、各SNSの仕様変更に弱く、保守メンテナンスのコストが跳ね上がります。そこで、「データのダウンロードとフォルダ格納」は人間が行い、その後の「データの取り込み・集計・可視化」を自動化するという実用的な境界線を設計しました。
  2. Googleツールでの完結 Google ドライブをデータの受け口とし、そこからスプレッドシートを経由してLooker Studio(ダッシュボード)に自動反映される仕組みを構築しました。高額なBIツールは不要です。
  3. 生成AIを開発アシスタントに プログラミングの専門知識がない担当者でも、必要なデータ処理の仕組み(関数やGASの記述、エラーの解消手順など)を生成AIに相談しながら進めました。結果として、外部コストを一切かけずに内製でのシステム構築に成功しました。

4. 結果:引き継ぎ不要の環境が完成、運用しながらブラッシュアップへ

現在、このシステムは稼働を開始しています。 担当者の月次作業は「規定のGoogleドライブフォルダにCSVデータを格納するだけ」となり、格納と同時にLooker Studio上で最新のレポートがグラフィカルに表示されるようになりました。

イレギュラーなデータ形式への対応など、これから数か月間は実務で動かしながら微細な改修(チューニング)を加える必要はありますが、当初の目的であった「属人化の排除」と「工数の大幅削減」は確実に見込める状態に仕上がっています。

5. 最大の気づき:AIは魔法の杖ではない。「設計」こそが人間の仕事

今回のプロジェクトを通して、私たちは非常に重要な「気づき」を得ました。 それは、「生成AIを活用すれば素人でもシステム構築は可能だが、上流の『設計』ができていなければ絶対に使い物にならない」ということです。

AIに「レポートを自動化して」と丸投げしても、目的に合ったシステムは生まれません。

  • ゴール設計:最終的にどのような状態(効率化)を目指すのか?
  • 課題設計:今の業務フローの「どこ」が真のボトルネックなのか?
  • 成果物の役割定義:生成されたダッシュボードを見て、誰が、どのような意思決定をするのか?(単なる数字の羅列になっていないか)

こうした「目的とゴールの明確な言語化」を人間が行って初めて、生成AIという強力なツールを正しく使いこなすことができます。

おわりに

「レポート作成」という作業時間を圧縮し、「思考と改善」の時間を増やす。今回の「生成AI×Googleツールによる半自動化」は、多くの現場で応用できる実用的なアプローチです。 ツールの便利さに溺れることなく、しっかりと「目的」を見据えながら、皆様の組織でもAIを活用した業務改善に挑戦してみてはいかがでしょうか。

重田 浩樹(しげた ひろき)
株式会社セカンドマインド 取締役CTO / CMO 兼 新規事業統括責任者。WACA上級ウェブ解析士・上級SNSマネージャー。 キャリアの出発点はバーテンダーとセールスドライバー。そこで培った現場のリアルな感覚を武器に、クリエイティブディレクターやECコンサルタントへ転身。延べ200社以上のEC支援に携わり、売上倍増などの成果を叩き出してきた。 座右の銘は「興味をもってやってみれば何でもできる」。論理的に本質を見極める分析力と、泥臭い実務を厭わない行動力を併せ持ち、現在は自社AIエージェントの開発PMも務めるなど、最新テクノロジーの活用にも明るい。 ビジネスの最前線で闘う一方、休日は和太鼓や空手で心身を鍛える文武両道の実践者。世田谷区で妻と2人の子どもと暮らす。 

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ウェブ解析士はウェブマーケティングの知識の基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学び、スキルの評価基準を基に必要な能力や知識を身につけられる資格です。

目次