ウェブ解析士協会(WACA)のサイトを、ウェブ解析士自身が分析・改善していくプロセスをお見せしていきます。
「ウェブ解析士って何をする人なの?」「どんな考え方が身につくの?」と気になっている方に、「データを見て、考えて、変える」という仕事のリアルをお届けします。
見られているのに、押されていない
ウェブサイトのトップページは、いわばお店の「入り口」です。 多くの人が最初に目にする場所なのに、そこから先のページに進んでもらえなければ、どんなにいい情報を用意していても届きません。
WACAのサイトでも、トップページにはたくさんの人が訪れていました。
しかし、分析したところ「ウェブ解析士試験のページを見てもらいたいのに、ファーストビュー(最初に目に入る画面)が、見られているだけで、ウェブ解析士のリンクがクリックされていない」ということが分かったのです。

実際にスマホで見ると、ファーストビューにはきれいなスライダー画像が表示されています。 でも、ボタンもリンクもなく、画像を眺めるだけの画面になっていました。
実際は写真全体がリンクエリアになっていて、クリックすると「ウェブ解析士とは」のページに遷移します。
実際にレコーディングツール(録画ツール)で確認すると、
①ページを開く
②メイン画像を見る
③下にそのままスクロールする
という行動をするユーザーが多く見られました。
これは、サイトの見た目がきれいかどうかとは別の問題です。
「行動につながる導線があるかどうか」が課題であり、今回の改善テーマです。
ウェブ解析士は、データから「本当はこうしてほしいのに、そうなっていない」を見つけるのが仕事です。
仮説:ファーストビューに「行動できるもの」がないから、スルーされているのでは?
データを見て、以下の仮説を立てました。
スマホのファーストビューにクリックできる要素がないから、ユーザーは「ここは見るだけの場所」と判断して通り過ぎているのでは?
であれば、ファーストビューに「次のアクション」がわかるボタンを置けば、動いてくれると考えました。
ウェブ解析士の仕事は、こうした仮説をデータから組み立てて、改善につなげること。 直感や好みではなく、「なぜそう考えるのか」を根拠をもって説明できるのが大きな特徴です。
スマホのファーストビューにオレンジのボタンを追加した
改善はとてもシンプルです。
スマホ表示のトップページ、メインビジュアルのスライダーに「ウェブ解析士とは」ページへのオレンジ色のボタンを追加しました。

変えたのは、このボタン1つです。
デザインを大きく作り直したわけでも、ページの構成を変えたわけでもありません。
遷移率が13.5% → 16.3%に。+21%の改善
ボタンを追加した前後で、スマホからのトップページ → /course/wac/(ウェブ解析士とは)ページへの遷移率を比較しました。


| 期間 | 遷移率 | |
|---|---|---|
| Before | 2/12〜2/25 | 13.5% |
| After | 2/26〜3/11 | 16.3% |
| 変化 | +21% UP |
「たった2.8ポイント?」と思うかもしれません。でも、少し計算してみましょう。
仮にスマホからトップページに月3,000人が訪れているとすると、改善前の遷移率13.5%では約405人が「ウェブ解析士とは」のページに進んでいた計算です。改善後の16.3%では約489人。つまり、ボタン1つで月に約84人多くこのページにたどり着くようになります。
年間にすれば約1,000人。この中から試験の申し込みに進む人が一定数いると考えれば、ボタン1つの改善が売上やKPIに与えるインパクトは決して小さくありません。
※ トップページから「ウェブ解析士とは」ページへの導線は、このボタンだけではありません。ヘッダーメニューやスクロール先のリンクなど、複数のルートが存在します。つまり、それらの導線はすべて以前と同じままで、変えたのはボタンを1つ足しただけ。それでも全体の遷移率が+21%動いたということは、ファーストビューでの離脱がそれだけ大きかったことの裏返しでもあります。
この記事のポイント
今回やったことは、3つだけです。
- データを見て、「見られているけど押されていない」ことに気づいた
- 「ボタンがないからスルーされている」と仮説を立てた
- ファーストビューにボタンを1つ追加して、効果を測った
特別なツールや大がかりなリニューアルは必要ありません。
「何が起きているかをデータで把握し、仮説を立てて、小さく試す」。
この考え方こそ、ウェブ解析士が学ぶスキルの基本です。
「自分のサイトでも同じようなことが起きているかも……」と思った方は、ぜひウェブ解析士について調べてみてください。
データを見る目が変わると、サイトの「もったいない」が見えてくるようになります。
