
「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深掘りするインタビュー。97人目は、3児の母として仕事と学びを両立する上級ウェブ解析士の櫻井あや(さくらい・あや)さん。NPO運営に携わりながら、7年間迷い続けた資格取得に挑戦。自分の可能性を広げた経験について語っていただきました。
(インタビュー:チーフSNSマネージャー 毛利 美佳、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
仕事と育児、そして再挑戦の決意
――自己紹介をお願いします。
櫻井さん:櫻井あやと申します。現在はNPOで事務局の運営を担当しています。3人目の妊娠・出産後に復職したのですが、その間にGA4が発表され、デジタルマーケティングを取り巻く状況が変わってしまって……。デジタルマーケティング関連の資格を探すなかで、ウェブ解析士に興味を持ちました。
――ウェブ業界はもともと長かったのですか?
櫻井さん:いえ、12年前に勤めていた会社で、自社開発のアクセス解析ツールを使っていましたが、汎用的なツールには触れていませんでした。その後、人材会社でSNS発信やライティングなどを行っていたときもありましたが、一定期間のブランクがあります。
――資格を知ってからすぐに受験されたのですか?
櫻井さん:いえ、実は2017年にテキストを購入しましたが受験せず、2019年も同様に受験しないまま、2024年にようやく受験し合格できました。
子どもが3人おり、子育てをしながらの学習だったこともあって、自信がもてなかったんです。

――子育てしながらの学習は大変ですよね。上級ウェブ解析士まで進まれたきっかけは?
櫻井さん:ウェブ解析士で用語は学べても、実際に仕事に活かすには足りないと思ったんです。レポートの作成や実務で、どうやってクライアントに提出しているのか知りたくて。もうここまで来たし、取っちゃおうと勢いで申し込みボタンを押しました。
――講座で大変だったことは?
櫻井さん:レポートの量が本当に多くて。GAに触れたことはありましたが、上級のレポート作成には知識も経験も全然足りなかったです。Looker Studioも講座で初めて知ったような状況でしたから。
子どもを寝かしつけた後、夜10時から2~3時まで勉強する日々は、自己嫌悪との戦いでしたね。
資格で痛感したデジタルマーケティングの深さ
――資格取得が実務にどう活きましたか?
櫻井さん:今の業務では活かせていないのですが、「レポートはクライアントを動かしてこそ価値がある」という考え方が印象に残っています。レポートの目的は作成じゃなく、見た人の行動のほうが大事だと。それまで考えたことのない考え方でした。
――合格によって自信はつきましたか?
櫻井さん:多少は。でも、知れば知るほど、自分の足りなさにも気づかされます。自信を得たというよりは、まだまだ勉強が足りないなって思いました。完璧主義というよりは、自分に自信がないんですよね。
――それでも、すごい挑戦ですよ。子育てもしながらレポートをこなし、仮説を立てた経験は間違いなく。
櫻井さん:ありがとうございます。自信がないのは、現場経験のなさなのかもしれません。まだこれからってことですよね。
女性のキャリア支援とマーケティングの融合
――今後、注力したいことは何ですか?
櫻井さん:女性のキャリア支援です。産後、自分のキャリアが中断する悩みに向き合い続けてきました。育休中に取得したキャリアコンサルタントの知識と掛け合わせて、多様な働き方を支援できるような存在になりたいなと思っています。
周りを見渡しても、出産でキャリアを中断しなくてはならない状況が多くて。産後復帰しようと思っても、時間の融通がきかない方は多いと思うんです。
スキルアップしながら、会社員以外の多様な働き方を支援したいです。
――ウェブ解析やデジタルマーケティングの知識が、働き方の選択肢を増やすわけですね?
櫻井さん:そうですね。デジタルマーケティングのスキルがあれば、会社員として通勤が必須な働き方以外の選択肢として、自宅など場所に縛られずに働けると思うんです。特に子育て中は何があるかわかりません。子どもの状況によって働き方を変えたい方や、ブランクからの再挑戦にはマーケティングは強い武器になるはず。私が身をもって知識を深めて、伝えていけたらと思っています。
――最後に、資格取得を迷っている方へメッセージをお願いします。
櫻井さん:迷ったら、まずテキストを買って開いてみてほしいです。私も何年も迷いましたが、あの時始めていれば……って思うときもあります。勉強は大変だけど、知識が増える楽しさや、合格した時の達成感は大きいです。気になったその時が始めどきだと思います。
あとがき
櫻井さんの言葉から、「迷いながらでも、学び続ける強さ」がひしひしと伝わってきました。家庭や仕事との両立、自信の揺らぎ…。それでも歩みを止めなかった姿は、きっと多くの人の背中を押してくれるはずです。
学びはゴールではなく、自分の可能性に気づく旅かもしれません。このインタビューが、いま迷っている誰かの背中をそっと押すきっかけになれば嬉しいです。