「SNSは広告ツールじゃない」北陸からSNSリテラシーを底上げする チーフSNSマネージャー 伊藤 雅恵さん

SNSを広告ツールだと思っていませんか? 投稿しても続かない、成果が見えないなど、企業のSNS運用で抱えがちな課題は、業務設計と仕組みづくりで解決できます。「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深掘りするインタビュー。107人目は、チーフSNSマネージャー 伊藤 雅恵(いとう まさえ)さん。石川県金沢市を拠点に、中小企業のウェブ・SNS支援を続けて17年。成果をつかむために必要なことを教えていただきました。

(インタビュー、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)

目次

北陸新幹線が開通したのに、無計画なSNS運用してたらダメじゃん!

――伊藤さんは、石川県金沢市で企業のウェブ・SNS支援をされているそうですね? 支援内容を教えてください。

伊藤さん:合同会社オズ 代表の伊藤と申します。今年で創業17年目。企業の「発信」を入口に、中小企業の業務が回る仕組みづくりを支援しています。

発信が続かない、成果につながらない、属人化しているなどの課題を、代行ではなく業務設計で解決する仕事です。

――長年、地域企業を支援し続けてきたのですね。この資格を知ったのはいつでしょう。

伊藤さん:2019年ごろ、Facebookで知り合いの投稿を見て知りました。

――資格を知る前は、どのような課題感がありましたか。

伊藤さん:主事業のウェブ制作から派生して、SNS運用の相談が増えてきた時期でした。

ただ、多くのSNSセミナーは「フォロワー1万人を1カ月で達成しましょう」みたいな話ばかりで、おかしいなと思ったんです。

インフルエンサーになりたい方は別ですが、事業者にとって大切なのは、たとえフォロワー100人でも、顧客になりうるフォロワーとつながることじゃないかと。

この考えが正しいのか、答え合わせできる場がないなと思っていた矢先に、この資格と出合って受けてみました。

――当時は資格講座ができたばかりで、現在の上級SNSマネージャー講座の内容からスタートだったそうですね。講座で得た一番の学びはなんですか。

伊藤さん:今でこそ、オンライン講座が浸透していますが、6年前は石川から新宿まで4時間かけて通いました。正直、めちゃくちゃ疲れました(笑)。

そのような状況に置かれても、運用企画書のフォーマットを手に入れたのは、私にとって本当に大きな価値だったと思います。

――上級SNSマネージャー養成講座で作成するレポートですね。

伊藤さん:そうです。クライアントと一緒にフォーマットを埋めていけば、クライアント自身の理解度も上がるし、サポートの質も上がって、結果的に単価も上がります。

クライアントの内製化による手離れも早くなったのは、うれしい反面、悩ましいところです(笑)。

――上級から、チーフを目指した理由は?

伊藤さん:5年ほど前、石川県の経営相談に関わる方から、「SNSなんて、先端行ってるね! 」と言われたんです。

耳を疑いましたよ。北陸新幹線が開業して観光客がどんどん増えているのに、そんな悠長なことを言っている場合ではないでしょう?

しかも周りは「フォロワーを増やしたい」とか、「あの人気店はInstagramをやっているから成功しているのだろう。うちもやらなきゃ」とか、何の計画もなくSNSに飛びついている。

これはやばい。サポートするだけじゃ間に合わない。教える人にならなければと思って、北陸三県初のチーフSNSマネージャーになりました。

成功への鍵は「実践」にあり。悩む前に動け!

――伊藤さんの講座では、どんなことを心がけていますか。

伊藤さん:初級SNSマネージャー講座は、1日4時間みっちり教えるので、最後は早口にならないと終わらないほどのボリュームです。受講生の多くは、後半になると読解力が落ちて、目が泳いできます。

初級講座の最大の目的は、試験に合格してスタートラインに立ってもらうこと。私の講座受講生のなかにはSNS運用に初めて触れる方もいらっしゃるので、まずは楽しく、SNSに興味を持ってもらえるきっかけづくりを心がけています。

――印象に残っている講座中のエピソードを教えてください。

伊藤さん:初期の受講生で、広報部の部長をされている方がいました。

講座では、SNS上で自社商品やブランド名を検索し、どのような投稿に扱われているか見る「ソーシャルリスニング」を行います。

彼の自社商品名で検索したところ、前向きな投稿が山ほど見つかったんです。

ところが、会社の公式アカウントはまったく反応していなかった。

――もったいない……! 

伊藤さん:理由は簡単で、パートナー企業に運用を丸投げしていたんですね。エンゲージメントを上げる対応は、依頼に含まれていなかった。

もったいないですよね。頑張って毎日投稿しなくても、商品への投稿に答えるだけで、価値やサービスが伝わる可能性は高いのに。

――SNS運用に限らず、ウェブ関連のパートナー連携ではよくある話かもしれませんね。その後、どうなったのでしょうか?

伊藤さん:彼はその場で、SNS運用の内製化を決意しました。上級SNSマネージャー養成講座受講中に社内体制を作り、今も成果を伸ばしています。

SNSを広告ツールだと思っている企業は本当に多いです。しかし、SNSは本来コミュニケーションツール。ユーザーの声に耳を傾けることこそ一番大事なんです。

――そのとおりですね。一方で、この資格に限らず、資格を取りっぱなしにしないためにできることは何だと思いますか?

伊藤さん:先日も、上級SNSマネージャーに合格した受講生から、「このあと、どうすればいいですか。ほかに学ぶべき資格はありますか」と聞かれました。

学ぶより先に、まず運用です。資格や肩書を増やせばいいって話じゃないんですよね。

――まずは手を動かす! ですね。

伊藤さん:ただし、ご自身のアカウントでは自分に甘えて後回しになりがちです。友人や、関係の深い方の事業で運用サポートをさせてもらうといいと思います。

運用企画書を作り、実装し、うまくいかない経験を積む。炎上や伸び悩み、わからないことを誰かに聞く。ファクトチェックする。AIに聞く。その積み重ねで、1年もすれば誰にでも答えられるスキルになりますから。

乱暴な言い方をすれば、「さっさと仕事しろ」です(笑)。3回やれば、どんな仕事も慣れます。

誰のための発信? SNS運用が楽しくなる学びを

――この資格を、どんな方に勧めたいですか。

伊藤さん:企業の広報担当者はもちろん、学生、就活生、新入社員、そしてキャリアコンサルタントに勧めたいです。

この講座は、SNS運用体系を学ぶだけじゃなく、誰を喜ばせるために発信するのか、なぜ発信するのか、事業のビジョンに触れる学びでもあります。

上司の顔色じゃなく、SNSの先にある人々の顔が見えると、仕事は一気に面白くなる。新入社員研修にも使ってほしいし、拡散や炎上の仕組みを知ることは、企業の信頼を守ることにも直結します。

――世代、業種を越えて役に立つ学びですね。伊藤さんの今後の活動は?

伊藤さん:北陸はまだ、SNSマネージャーの認知に伸びしろを感じています。

運用の内製化や、業務設計の視点を広げる現場に役立つ講座・勉強会を増やしたいです。特に、観光や地場産業は力を入れたいですね。

横のつながりを強化し、地域全体の発信力を底上げします。

――ありがとうございます。最後に、受講を迷っている方へ、メッセージをお願いします。

伊藤さん:わからないことに挑戦するって、ドキドキしますよね。

私は、ITが苦手な方を17年サポートしてきたので、多くの方が不安に感じるポイントを理解しています。私の講座が終わったあと、みんな「楽しかったー! 」って言ってくださるんですよ。

感想が楽しかっただけかいって毎回ツッコむんですけど、試験はバッチリ合格されているので、楽しいだけじゃなく結果もついてくる講座です(笑)。

――上級や、チーフに関心がある人にもメッセージをお願いします。

伊藤さん:コンサル業の方は、上位資格まで取ってください。お客さまへ要点を伝えられるようになり、サービスの質がグッと上がります。

チーフになったら、悩む前に講座を開催しましょう! 相談できるチーフは、周りにいっぱいいますから。いつでも頼ってください。

あとがき

悩む前にやるべし。伊藤さんのインタビューを通じて、勉強で満足せず、「力不足かも……」と物怖じすることなく、とにかくやってごらんと背中を押していただきました。

上級SNSマネージャー養成講座では、伊藤さんもお話していたSNS運用の基本の型、運用企画書を作成します。第三者へ共有しやすく、自分や自社の運用軸にもなるので、講座後も活用できるものです。

また、伊藤さんはウェブ解析士協会の発信活動にも力を入れているそう。

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関連リンク

合同会社オズ:https://www.oz-adviser.com/

伊藤雅恵|SNS中の人の悲喜交々のあるある話:https://note.com/nakanohito_ito

ITオンチ専門チャンネル:https://www.youtube.com/@MAZIRAMeeting

SNSの沼ラジオ:https://stand.fm/channels/695ca3d16f1e5aedb1f34a63

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