
「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深掘りするインタビュー。110人目は、上級ウェブ解析士の湯川 千尋(ゆかわ ちひろ)さん。
TOPPANクロレ株式会社で20年以上、企画制作を続けてきた湯川さん。異動をきっかけにデジタルマーケティングの世界へ飛び込みました。クライアント支援に長年たずさわってきた湯川さんの知見から、AI時代におけるウェブ解析士の役割と活かし方をお話いただきました。
(インタビュー、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
20年のクリエイティブ経験を武器に、デジタルマーケティングの世界へ
――湯川さんのご経歴と、現在のお仕事を教えてください。
湯川さん: 美大でデザインを学び、新卒で図書印刷株式会社(現:TOPPANクロレ株式会社)に入社しました。当社は、印刷技術を軸に、販売促進、業務効率化、デジタル化など、領域を越えて支援する事業会社です。
私はそこで、クリエイティブディレクターとして20年ほど企画制作を担当しました。5年前、自社サイトのリニューアルを機にマーケティング部門へ異動し、現在はコンテンツマーケターとして活動しています。
――「コミュニケーションをいい感じにする」と、ご自身のタグライン(理念・ビジョン)に掲げているそうですね。どういった意味が込められているのでしょうか?
湯川さん:日本には優れた技術を持つBtoB企業がたくさんあります。ただ、その魅力がステークホルダーに十分伝わっていないケースが少なくありません。
そうした企業の魅力をチューニングし、わかりやすく伝えることで、ビジネスの発展に貢献したい思いを込めています。
多くの企業戦略はプロダクトアウトに陥りやすく、顧客ファースト(マーケットイン)の視点が欠ければ販売は成功しないと、クリエイティブディレクター時代に学びました。
この経験から、人の感情を動かし行動変容につながるコミュニケーション設計が成果を左右すると考えているんです。
「わかる」から「できる」へ。資格取得で得た、施策への確信
――ウェブ解析士の資格は、どのようなきっかけで知ったのでしょうか。
湯川さん:マーケティング部門へ異動したとき、私にはデジタルマーケティングの知見がほとんどなく、正直、このままではどうにもならない危機感がありました。
デジタルマーケティングを体系的に学ぶ方法を探していたところ、会社の推奨資格リストにウェブ解析士を見つけ、基礎から学ぶために取得を決意しました。
――資格を取得して、どのような変化がありましたか?
湯川さん: ウェブ解析士の講座で基礎知識は得られましたが、理解して行動するには物足りなさを感じ、上級ウェブ解析士を取得しました。
その結果、Google アナリティクスのデータ解析だけでなく、ヒートマップやMA(マーケティングオートメーション)の情報を組み合わせ、顧客行動を多角的に分析できるようになったのが大きな変化です。
――分析スキルが向上したことで、実務にはどうつながりましたか?
湯川さん:データ分析が、施策を打つ上での強力なエビデンス(根拠)になりました。この施策は適切だと確信を持って提案できるようになり、自分の中でやるべきことの解像度が格段に上がったと感じています。
サイトコンテンツで顧客に与える共感と行動変容に注力すればいいとわかり、マーケティング活動の軸が定まりました。
ウェブ解析士はAIをマネジメントし、意思決定に集中すべし
――今後の事業や、ウェブ解析士としてのビジョンはどのようにお考えですか?
湯川さん: 私は、マーケティングで解決できないことをブランディングで解決するという言葉を信条としています。
短期的に売れる仕組みを作るのがマーケティング、中長期的に売れ続ける仕組みを作るのがブランディングだと定義すると、この二つは役割が異なり、うまくミックスさせて使い分けることに施策の価値があると思うんです。
目前の売上を上げるにはマーケティング施策が不可欠です。しかし、3年後、5年後を見据えてビジネスを継続するには、ブランディング施策を同時に行う必要があります。
――AIの進化が著しい今、ウェブ解析士の役割はどう変わるとお考えですか。
湯川さん: データ抽出や分析レポートといった作業は、今後AIが代替するでしょう。
これからのウェブ解析士の価値は、AIが出した施策から何を選択し実行するのか、意思決定の領域にあると考えています。判断するのは人間にしかできませんから。
プロンプトエンジニアリングから、複数のAIを操る「AIエージェント」をマネジメントする能力が求められるようになるでしょう。AIを使いこなし、人を動かす施策に結びつけることこそ、これからのウェブ解析士の在り方ではないでしょうか。
――最後に、この資格をどのような方にすすめたいですか。
湯川さん:デジタルコミュニケーションで顧客に価値を提供したいと思う一方で、自分がどんな価値を提供できるのか悩んでいる方、あるいはご自身のステージを上げていきたいと考えている方に、ぜひおすすめしたいです。
あとがき
クリエイティブディレクターの経験と鋭い視点を持つ湯川さんのお話は、データとクリエイティブの融合がこれからのマーケティングに不可欠であることを、あらためて気づかせていただきました。
AIをマネジメントし、人間は意思決定に集中するAI時代。湯川さんの姿勢は、変化の時代を生き抜く私たちウェブ解析士にとって、大きなヒントとなるのではないでしょうか。
関連リンク
TOPPANクロレ サービスサイト:https://digital.toppan-colorer.co.jp/
