勝敗を分けたのは、成果の大きさではなく「思い込みを捨てられたか」。2026年6月6日、WACA上級ウェブ解析士分科会は初の「上級ウェブ解析士アワード2026」(Senior Web Analytics Consultant Award 2026)を東京都渋谷区の日本経済大学渋谷キャンパスで開催しました。ファイナリスト7人がそれぞれの実践を発表。最優秀賞はNTT西日本株式会社の浅井暁弘さんが受賞しました。「データ=事実」に立ち返り、思い込みを排してユーザーが迷わない動線を設計し直した実例を発表し、会場参加者の投票と審査員の採点の結果、頂点に立ちました。
受賞結果・審査基準・講評・受賞者コメントをまとめてお届けします。

上級ウェブ解析士アワードとは
上級ウェブ解析士をはじめとする実務家が自ら手がけた改善事例を発表し合いました。当時の課題 → 仮説 → データに基づく判断 → 得られた成果 → 学びという一連のプロセスを“生で見られる” のが最大の特徴です。他者の現場の意思決定を追体験しながら、自分の実務に合わせて再現可能な手法を学べます。
受賞結果
最優秀賞
浅井暁弘さん(NTT西日本株式会社)

発表テーマ:データ=事実に基づいたサイト改善 〜思い込みをなくしつつユーザーが迷わない動線づくりで成果を上げた実例〜
「思い込み」を排し、データに立脚して設計し直した点が高く評価されました。副賞として、ウェブ解析士マスターへの挑戦権(無料) と 支部セミナーへの登壇権が贈られました。
浅井暁弘さんコメント
練習で準備はしてきましたが、賞をいただき改めてうれしい気持ちでいっぱいです。3年前まで、ウェブの世界でこのように活動するとは思っていませんでした。今ウェブに関わっていない方も、ひょんなことから自身の業務につながるかもしれません。上級ウェブ解析士などの資格取得にも積極的にチャレンジしてみてください。
審査員特別賞
石川翔貴さん(株式会社GIG)

発表テーマ:少ない工数でコンバージョン数を増やした方法
限られたリソースで、投下工数あたりの成果を最大化したアプローチが評価されました。
石川翔貴さんコメント
こんな賞をいただくとは思っていませんでした。会社の人にもたくさん発表練習に付き合ってもらいました。改めて感謝を伝えたいです。
ファイナリストの発表テーマ
実際の現場から生まれた、多彩な改善ストーリーが並びました。他5人のお名前とテーマは以下の通りです(敬称略)。
| 発表者 | 所属 | 発表テーマ |
| 吉田哲也 | 有限会社TY Planning | ミクロ解析で担当者が動き出す 〜BtoB中小企業の伴走支援、有効問い合わせ3倍へ〜 |
| 石井慎八 | 株式会社あるとみ | SEOの限界に、Metaの自由度で挑戦する 〜岡山の桃農家とデータが導いた媒体選択の物語〜 |
| 水野雄斗 | SynerCreate 代表取締役 | Instagram自動返信ツール(ChatEase)アライアンス2社獲得事例 |
| 松浦真由実 | オフィスプチデザイン | 売れない原因は集客ではなかった 〜購入のハードル改善で売上4倍を実現したサイト改善事例〜 |
| 宮田尚亮 | 個人事業主 | 心理 × データによる意思決定で見積依頼161%を実現した改善事例 |
「有効問い合わせ3倍」「売上4倍」「見積依頼161%」など、定量的な成果が具体的に語られたのも今回の特徴です。
5項目の審査基準
本アワードは、成果の大きさだけでなく思考プロセスの質を評価しました。審査の観点は次のとおりです。
- 当時のビジネス課題 — 状況・背景が具体的に示されているか。何が問題だったか(売上・KPI・組織)が明確か。
- 仮説・考えたこと — なぜその仮説に着目したかの根拠が説明されているか。使ったデータ・指標が適切に示されているか。
- データをもとにした判断・アクション — データをもとに施策の優先順位がつけられているか。判断の理由が論理的に説明されているか。
- 得られた成果 — 定量的な成果(CVR・CPAなど)が示されているか。定性的な変化(組織・意思決定など)も示されているか。
- 振り返り・学び — 他の現場でも使える再現性のある学びが示されているか。データをビジネスに活用する考え方が伝わるか。
数字を出すだけでなく、「なぜその判断をしたか」を論理的に語れること、そして他者が再現できる学びに昇華できていることが、評価の分かれ目となりました。
審査員講評 四谷志穂・Web担当者フォーラム編集長コメント
データを見ないといけないが、その先には人がいる。その人の気持ちに対してアプローチされている方で、明確に説明が分かりやすい方に投票しました。仕事をしていく上で大事なことは人の気持ちに寄り添うことだと思っていますが、その過程でデータなどのエビデンスを使うことを大事にしていければいいですね。
まとめ
「データの先には人がいる」 ——。四谷さんのコメントに、ウェブ解析の本質があります。数字は目的ではなく、人の気持ちに寄り添うための手段であるとの姿勢が、発表の説得力を左右しました。
初めての上級ウェブ解析士アワードは「データを人と事業の成果につなげる」実践知が交わる場となりました。最優秀賞の浅井さんをはじめファイナリストの発表は、ウェブ解析が単なる数値レポートではなく、意思決定と組織を動かす力であることを示しています。
成果を出す現場の思考プロセスを学びたい方は、上級ウェブ解析士の資格取得や、次回アワードへの参加・観覧をぜひご検討ください。

