ユーザーは「過去問」を探していた。検索データから生まれたページの効果は?|ウェブ解析士サイトの改善事例

皆さんこんにちは。ウェブ解析士マスターの山田恵理子です。

この記事では、ウェブ解析士協会(WACA)のサイトを、ウェブ解析士自身が分析・改善していくプロセスをお見せしていきます。

「ウェブ解析士って何をする人なの?」「どんな考え方が身につくの?」と気になっている方に、「データを見て、考えて、変える」という仕事のリアルをお届けします。

今回のテーマは、「ユーザーが本当に知りたいことを、検索データから見つけて、それに応えるコンテンツをつくった話」です。

サイト改善というと、ボタンの色を変える、レイアウトを直す、といった「見た目の調整」をイメージするかもしれません。

しかし今回やったのは、もっと根本的なところです。

「ユーザーが探しているものを、サイトの中に用意していなかった」という気づきから始まりました。

目次

サーチコンソールから見えた、ユーザーの「本当に知りたいこと」

きっかけは、いつものようにサーチコンソール(Google Search Console)でユーザーの検索データを眺めていたときでした。

サーチコンソールでは、「どんなキーワードで検索した人が、自分のサイトを見つけているか」を知ることができます。実際にクリックされていないキーワードでも、「検索結果に表示された回数」までわかるので、「ユーザーが何を探しているか」が見えてくるツールです。

WACAサイトの検索データを見てみると、こんなキーワードが目立ちました。

検索キーワード表示回数クリック数
ウェブ解析士 過去問177回36回
ウェブ解析士 問題集175回54回
ウェブ解析士 問題120回9回
ウェブ解析士 公式問題集69回8回
ウェブ解析士 練習問題56回1回
ウェブ解析士 過去問題53回1回
ウェブ解析士 模擬試験65回3回

「過去問」「問題集」「練習問題」「模擬試験」などのワードが並んでいます。

これらの検索キーワードに共通しているのは、「資格試験を受ける前に、自分の実力を試したい」という意図です。

検索エンジンに言葉を打ち込んでいるということは、その答えを真剣に探しているということ。

資格に少しでも興味を持ってくれた人が、「どんな問題が出るんだろう?」「自分にも解けそうかな?」と考えて検索してくれている。

そんな姿が、データから見えてきました。

そして、ここで大事なのは「サイト内に、その答えがあるかどうか」です。

ユーザーが検索した先でちゃんと答えがあれば、「このサイトは自分のことをわかってくれている」「もっと知りたい」と感じてもらえます。

逆に、答えが用意されていなければ、ユーザーは別のサイトに流れていったり、探すのをあきらめてしまいます。

せっかく自分たちのサイトに興味を持ってくれた人を、みすみす他のサイトに渡してしまうことになるのです。

さらに、検索したユーザーは「資格に少しでも興味がある」状態で来ています。

一般的なサイト訪問者よりも、検討の段階が進んでいる人たち。

この人たちにきちんと応えられれば、その先の「申し込み」「受講」につながる可能性が高い。

サイト運営側にとっても、もっとも大切にすべきユーザー層なのです。

ウェブ解析士は、こうしたデータの裏側にいる「ユーザーの気持ち」を読み解くのが仕事です。

数字そのものではなく、「なぜそう検索したのか」「その答えを、自分たちは用意できているか」を考えることが、改善の出発点になります。

「答え」になるページが、サイトに存在しなかった

ユーザーが「過去問」「練習問題」を求めているとわかったので、次は「サイトはそれに応えられているか?」を確認しました。

当時のWACAサイトには、こんなページがありました。

  • 試験の概要を説明したページ
  • 公式テキストを紹介するページ
  • 公式問題集(書籍)を紹介するページ
  • よくある質問のページ

どれも丁寧に作られているのですが、よく見ると「今すぐ、その場で問題を解いてみられるページ」がなかったのです。

公式問題集を買えば問題は解けます。

でもそれは「お金を払って、本を取り寄せて、届いてから解く」という長い道のり。

検索した人が知りたいのは、もっと手前の「どんな問題なんだろう?」「自分にも解けそうかな?」という疑問かもしれません。

これは、ウェブ解析の世界でよくある「ユーザーニーズと、提供コンテンツのミスマッチ」でした。

ユーザーは「軽く試したい」と言っているのに、サイトは「本格的に勉強するための教材」しか用意していない。需要と供給が、ちょっとズレていたのです。

ウェブ解析士の視点で見ると、これは「もったいない状態」です。

検索という形でせっかくユーザーが興味を持ってくれているのに、用意できる答えがない。チャンスを取りこぼしているのと同じだからです。

仮説:「腕試し」の場があれば、検討の壁を越えられるのでは?

そこで立てた仮説がこれです。

試験を申し込むのは、それなりに大きな決断。 その手前で「ちょっと試してみる」場所があれば、ユーザーは自然と一歩進めるのではないか。

資格試験の申し込みには、お金も時間もかかります。

仕事をしながら勉強する人にとっては、「本当に自分に合っているか」「ついていけるか」を見極めたいのが本音です。

そこに「無料で、その場で、試しに問題を解ける」体験があれば、ユーザーは自分の現在地を確認できます。

  • できた人 → 「いけそうだな、申し込んでみよう」
  • 難しかった人 → 「もう少し勉強してから挑戦しよう」

どちらに転んでも、ユーザーにとっては前向きな判断材料になります。

そして、サイト側にとっても「なんとなく離脱する人」を減らせる施策になりそうです。

ウェブ解析士の仕事は、こうした「ユーザーの行動と心理を結びつけて仮説を立てる」こと。「なんとなく良さそう」ではなく、「データからこう見えるから、こう動くはずだ」と根拠を持って提案できるのが、この仕事の面白いところです。

やったこと:模擬問題ページを作り、「ウェブ解析士とは」ページからリンクを設置した

仮説を立てたら、あとは試してみるだけです。

やったことは、以下の2点。

  1. 無料で挑戦できる「模擬問題ページ」を作った
  2. 「ウェブ解析士とは」ページから、模擬問題ページへのリンクを設置した
模擬問題ページ
「ウェブ解析士とは」ページ

模擬問題ページ自体は、特別なシステムを組んだわけではありません。「設問→選択肢→解答」というシンプルな構成で、その場で気軽に試せる形にしました。

そして、すでにアクセスが多い「ウェブ解析士とは」ページに、模擬問題ページへの導線を1本追加。これだけです。

派手なリニューアルでも、大規模なシステム改修でもありません。

「ユーザーが求めているものを、ちゃんと用意する」、やったのは、それだけです。

結果①:設置から35日で、約1,200回も見られるページに

設置後にまず気になるのは、「そもそも、模擬問題ページは見られているのか?」という点です。

設置したのは2026年3月11日。それから約5週間、4月15日までのデータを見てみました。

結果は、35日間で1,272回の閲覧、約1,160人のユーザーが利用してくれていました。

日々の波はありますが、平均すると1日約36回。設置直後の盛り上がりだけで終わるのではなく、コンスタントに利用され続けているのがポイントです。

「ウェブ解析士とは」ページから次に遷移する先としても、模擬問題ページは第2位(15.8%)にランクイン。多くの人が「ウェブ解析士って何?」を読んだあと、「じゃあ試しに問題を解いてみよう」と模擬問題ページに進んでくれていました。

これは、仮説が当たっていたことを示しています。「腕試しできる場所があれば使いたい」というニーズは、確かに存在していたのです。

結果②:模擬問題を見た人は、試験一覧を見る確率が2倍以上に

ここからが、今回いちばん伝えたい結果です。

「模擬問題ページを見た人」と「見なかった人」で、その後の行動はどう違うのか?

これを比べてみました。

対象は、「ウェブ解析士とは」ページに来てくれた人たち。

彼らを2つのグループに分けて、「試験一覧ページ(試験のスケジュールや申し込みページ)を見たかどうか」を比較します。

模擬問題を見た人模擬問題を見なかった人
人数951人4,828人
試験一覧の閲覧率39.4%17.1%
倍率2.3倍

※「ウェブ解析士とは」ページの訪問者を対象とした比較(3/12〜4/15)

結果は、模擬問題を見た人の試験一覧閲覧率が39.4%。見なかった人の17.1%と比べて、2.3倍の差が出ました。

つまり、こういうことです。

  • 「ウェブ解析士とは」ページだけ見て帰った人 → 17.1%しか試験一覧まで見ない
  • 「ウェブ解析士とは」ページのあと、模擬問題も見た人 → 39.4%が試験一覧まで進む

模擬問題で「自分にもできそう」「もう少し頑張ってみたい」と感じた人が、自然と次のステップに進んでくれている行動が、データに表れていました。

少し具体的に考えてみましょう。

仮に「ウェブ解析士とは」ページに月1,000人が訪れるとして、これまでは170人ほどしか試験一覧まで見ていませんでした。

でも、その中の何割かが模擬問題ページに立ち寄ってくれるようになれば、試験一覧を見る人は2倍以上に増えます。

ボタン1つ、ページ1枚の追加が、「興味」を「行動」に変える力を持っている

これは、データを取る前は確信できなかったことです。

「やってみたら効きそう」ではなく、「やってみた結果、確かに効いた」と数字で言えるようになる。

これがウェブ解析士の仕事の面白さであり、やりがいです。

もちろん、「もともと試験に興味を持っていたから模擬試験ページにアクセスした」場合も考えられますが、それを加味しても大きく数値が動きました。

この記事のポイント

今回やったことを、シンプルに3つに整理します。

  1. 検索データから、ユーザーが本当に知りたいことを見つけた
    サーチコンソールで「過去問」「練習問題」を求める検索ニーズに気づいた
  2. そのニーズに応えるコンテンツを用意した
    無料で試せる模擬問題ページを作り、目に触れる場所からリンクを張った
  3. 効果を数字で確認した
    模擬問題を見た人の試験一覧閲覧率が、見なかった人の2.3倍に

特別なツールも、大がかりなリニューアルも、たくさんの予算も必要ありません。

「ユーザーは何を探しているのか?」をデータから読み解き、それに応えるコンテンツを用意して、効果を数字で確かめる。

この一連の流れこそ、ウェブ解析士が日々やっている仕事の中心です。

ユーザーは、検索という形で必ずヒントを残してくれています。

それを見つけて、ちゃんと応えていく。それだけで、サイトは「もったいない状態」から「ちゃんと役に立つ状態」へと変わっていきます。

「自分のサイトでも、ユーザーは何かを探しているのに応えられていないかもしれない……」と思った方は、ぜひウェブ解析士について調べてみてください。

データを見る目が変わると、サイトが伝えてくれる「ユーザーの声」が、はっきり聞こえるようになります。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

ウェブ解析士マスター/香川県
1998年からウェブの世界に身を置き、これまで200サイト以上の改善に取り組んできました。「戦略から考える」をモットーに、ウェブコンサルティング、UI/UX設計、サイト構築を一貫して担当。SNSやLINEを含むマーケティング全般まで幅広く手がけています。
分析結果をわかりやすく伝え、チームの意思決定を後押しする「データで語れる改善」を実践しています。

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