広告、SEO、展示会、メルマガ・・・結局どれから手をつけるべきですか?〜ひとりで悩む中小BtoB企業のための Webマーケティングクリニック〜

目次

今回のご相談者

今回のご相談者は、工場向けの検査機器を製造・販売しているBtoB企業のマーケティング担当者です。

従業員数は約60名、年商は約12億円。営業担当者は6名いますが、マーケティング専任者は1名のみです。これまでは既存顧客からの追加注文、営業担当者による紹介、展示会での名刺交換を中心に新規案件を獲得してきました。

最近は、経営会議でも「新規顧客の獲得を増やしたい」という話が出るようになり、Webマーケティングにも本格的に取り組もうとしています。

ただ、そこで担当者を悩ませているのが、施策の優先順位です。

広告を出すべきなのか。SEO記事を増やすべきなのか。展示会にもっと力を入れるべきなのか。メルマガを始めるべきなのか。

やるべきことは、いくらでもあるように見えます。

しかし、担当者は1人。予算も限られています。すべてを同時に進めることはできません。

「結局、どれから手をつければいいのでしょうか?」
これが今回のご相談です。

今回のご相談

相談者:
新規顧客を増やすために、マーケティングを強化しようという話になっています。

ただ、何から始めればいいのか分かりません。

広告代理店からは「リスティング広告を始めましょう」と提案されています。SEO会社からは「記事を増やして検索流入を取りましょう」と言われています。営業部からは「やっぱり展示会が一番見込み顧客と会える」と言われますし、上司からは「名刺リストがあるならメルマガをやった方がいいのでは」と言われています。

どれも間違ってはいなさそうなので、余計に迷っています。

加藤先生:
なるほど。いま候補に出ているのは、広告、SEO、展示会、メルマガですね。

まず確認したいのですが、今回の目的は何でしょうか?

問い合わせを増やしたいのか、商談を増やしたいのか、既存リードを掘り起こしたいのか。そこによって、優先すべき施策は変わります。

相談者:
最終的には売上を増やしたいです。

ただ、直近で言うと、新規の商談数を増やしたいです。営業からも「新しいお客様との商談機会がもっと欲しい」と言われています。

月に5件くらい、新規の商談を増やせたら理想です。

加藤先生:
新規商談を月5件増やしたい、ということですね。

では、今の問い合わせや商談の状況を教えてください。Webサイトからの問い合わせは月にどれくらいありますか?

相談者:
Webサイトからの問い合わせは、月に5〜6件くらいです。

ただ、その中には営業目的の問い合わせや、既存顧客からの連絡も含まれています。純粋な新規商談につながる問い合わせは、月に2〜3件くらいだと思います。

加藤先生:
新規商談につながる問い合わせは月2〜3件ほど。目標は、そこからさらに月5件増やしたいということですね。

Webサイトのアクセス数はどうでしょうか?

相談者:
月間で4,000セッションくらいです。会社名で検索して来る人も多いですが、一部の記事ページには自然検索からの流入もあります。

ただ、記事を読んだ人が問い合わせまで進んでいるかは、あまり分かっていません。

加藤先生:
なるほど。まったく見られていないサイトではなさそうですね。

次に、展示会や過去の名刺リストはありますか?

相談者:
はい。展示会には年2回ほど出ています。1回の展示会で、100〜150枚くらい名刺を交換します。

過去の展示会名刺や問い合わせ履歴を合わせると、2,000件くらいのリストがあります。ただ、定期的に連絡できているわけではありません。営業担当者が個別に連絡しているものもありますが、全体として管理できているかというと、正直できていません。

加藤先生:
2,000件ほどの接点があるのに、継続的にはフォローできていないのですね。

メルマガは配信していますか?

相談者:
まだ配信していません。

過去の名刺リストはあるのですが、何を送ればいいのか分からなくて止まっています。配信ツールもまだ決めていません。

加藤先生:
分かりました。

ここまで聞く限り、いきなり「広告かSEOか展示会かメルマガか」を選ぶ前に、まず整理した方がよいことがあります。

それぞれの施策が、どの役割を持つのかです。

広告は、今すぐ課題を持って検索している人を集めるのに向いています。SEOは、中長期的に見込み顧客との接点を増やすのに向いています。展示会は、短期間で多くの名刺や商談のきっかけを作るのに向いています。メルマガは、一度接点を持った見込み顧客との関係を続けるのに向いています。

つまり、それぞれ役割が違います。

相談者:
そう言われると、たしかに全部同じ目的ではないですね。

ただ、予算も時間も限られているので、結局どれからやるべきかを決めたいんです。

加藤先生:
はい。今回の状況で言うと、まず優先したいのは「すでにある接点を活かすこと」です。

御社には、過去の展示会名刺や問い合わせ履歴を含めて、約2,000件のリストがあります。これは大きな資産です。

もちろん、広告やSEOで新しい人を集めることも大切です。ただ、すでに接点がある見込み顧客に何もできていない状態で、新しい施策だけを増やすと、また接点を作って終わりになってしまう可能性があります。

相談者:
ということは、まずメルマガですか?

加藤先生:
メルマガだけ、というよりは「既存リストへの情報提供と、その後の営業フォロー」を先に整えるイメージです。

たとえば、過去に展示会で名刺交換した人、問い合わせがあった人、資料を送ったことがある人に対して、月1回でも情報提供を始める。そして、クリックした人や反応があった人を営業が確認できるようにする。

これなら、ゼロから見込み顧客を集めるよりも早く、商談のきっかけを作れる可能性があります。

相談者:
なるほど。広告やSEOで新しく集める前に、今ある接点を活かすということですね。

でも、広告はやらなくていいのでしょうか?

加藤先生:
広告も選択肢に入ります。

ただし、広告を始めるなら、受け皿になるページや問い合わせ後の対応も一緒に確認した方がいいです。広告はクリックされるたびに費用がかかります。サービスページの内容が弱かったり、問い合わせ後の対応が曖昧だったりすると、費用をかけても商談につながりにくくなります。

なので、広告をやるなら、少額でテストしながら、どのキーワードや訴求が商談につながるのかを見るのがよいでしょう。

相談者:
SEOはどう考えればいいですか?

加藤先生:
SEOは、中長期で取り組むべき施策です。

すぐに月5件の商談を増やしたい場合、SEO記事だけで短期間に結果を出すのは難しいかもしれません。ただし、御社のように専門性の高い商材であれば、顧客が検討時に検索するテーマはあるはずです。

たとえば、「検査工程の効率化」「目視検査の自動化」「不良品検出の方法」「既存設備との連携」など、見込み顧客が課題を調べるテーマで記事を作ることは、中長期的には有効です。

ただし、SEO記事も読まれて終わりでは意味がありません。記事からサービスページ、資料ダウンロード、問い合わせにつなげる導線まで設計する必要があります。

相談者:
展示会はどうでしょうか?

加藤先生:
展示会は、御社のようなBtoB企業にとって有効な施策です。特に実物を見せたり、技術的な相談をその場で受けたりできる商材とは相性が良いです。

ただし、展示会は出展するだけでは不十分です。

会期前に誰に来てほしいのかを決める。会期中にどんな情報を聞くのかを決める。会期後に誰が、いつ、どのようにフォローするのかを決める。ここまで設計しておかないと、名刺を集めて終わりになってしまいます。

今回のように「どれからやるべきか」で迷っている場合、展示会そのものよりも、展示会後のフォロー設計を先に見直した方がよいかもしれません。

相談者:
かなり整理されてきました。

つまり、施策名だけで選ぶのではなく、今の自社にとって何が足りないのかで考えるべきということですね。

加藤先生:
その通りです。

「広告がいい」「SEOがいい」「展示会がいい」「メルマガがいい」と、施策単体で考えると迷いやすくなります。

今回のケースでは、まず既存リストを活かしたメルマガと営業フォローを整える。そのうえで、広告は少額で検証する。SEOは中長期の資産づくりとして続ける。展示会は、出展後のフォローまで含めて設計し直す。

このように、目的と時間軸を分けて考えると、優先順位が見えやすくなります。

相談内容の整理

今回の相談は、「広告、SEO、展示会、メルマガのうち、どれが一番良い施策か」という話ではありません。

大事なのは、自社の現状に対して、どの施策をどの順番で使うかです。

広告には広告の役割があります。今すぐ課題を持って検索している人にアプローチしやすく、短期間で検証しやすい施策です。一方で、クリックされるたびに費用がかかるため、サービスページや問い合わせ後の対応が弱いと、費用だけが先に出ていくことがあります。

SEOにはSEOの役割があります。見込み顧客が課題を調べているタイミングで接点を作ることができ、中長期的には資産になりやすい施策です。ただし、記事を作ってすぐに商談が増えるわけではありません。検索結果に表示されるまでにも時間がかかりますし、記事から問い合わせや資料ダウンロードにつなげる導線も必要です。

展示会には展示会の役割があります。短期間で多くの見込み顧客と直接接点を持てることは、BtoB企業にとって大きなメリットです。特に、製品を実際に見せたり、技術的な相談をその場で受けたりできる商材とは相性が良いでしょう。ただし、会期後のフォローが曖昧だと、名刺を集めただけで終わってしまいます。

メルマガにはメルマガの役割があります。一度接点を持った見込み顧客との関係を維持し、タイミングが来たときに思い出してもらうための施策です。ただし、メルマガだけで新しい見込み顧客が増えるわけではありません。過去の名刺リストや問い合わせ履歴など、すでにある接点をどう活かすかがポイントになります。

このように、どの施策にも役割があります。

だからこそ、「どれが良いか」ではなく、「今の自社にとって、どの役割が不足しているのか」を見る必要があります。

今回の会社では、Webサイトへのアクセスはある程度あり、過去の展示会名刺や問い合わせ履歴も約2,000件あります。一方で、それらの接点に対して継続的に情報提供したり、反応があった人を営業がフォローしたりする仕組みは整っていません。

この状態で、いきなり新しい集客施策だけを増やすと、接点は増えても、その後の対応が追いつかなくなる可能性があります。

まず見るべきなのは、すでにある接点を活かせているかどうかです。

過去に名刺交換した人に、定期的に情報を届けられているか。以前問い合わせがあった企業に、その後の情報提供ができているか。メルマガをクリックした人や、特定の製品ページを見た人に、次の対応ができるか。

ここが整っていないまま新しい施策を増やしても、「集めたけれど、追いきれない」という状態になってしまいます。

この問題が起きる理由

この問題が起きる理由は、施策名から考えてしまうからです。

「広告をやるべきか」
「SEOをやるべきか」
「展示会に出るべきか」
「メルマガを始めるべきか」

このように施策名から考えると、どれも必要に見えてきます。

広告は短期で結果が見えそうです。SEOは中長期の資産になりそうです。展示会は営業からの期待も高いです。メルマガは既存リストを活かせそうです。どれも間違っていません。

しかし、すべてを同時に進められる会社ばかりではありません。特に中小BtoB企業では、マーケティング担当者が1人しかいないことも珍しくありません。予算も人員も限られている中で、すべてに手を出すと、どの施策も中途半端になりやすくなります。

もう一つの理由は、短期施策と中長期施策が混ざってしまうことです。

広告は、比較的短期間でテストしやすい施策です。どのキーワードで反応があるのか、どの訴求で問い合わせが発生するのかを確認しやすい特徴があります。

一方で、SEOは中長期で育てる施策です。記事を公開してすぐに問い合わせが増えるというより、見込み顧客との接点を少しずつ増やしていく考え方に近いです。

展示会は、会期中に多くの見込み顧客と接点を持てる一方で、準備とフォローに大きな工数がかかります。

メルマガは、すでに接点のある見込み顧客との関係を維持する施策です。新規の接点を一気に増やすというより、既存リストを活かすための施策です。

このように、施策ごとに時間軸も役割も違います。

それにもかかわらず、同じ土俵で「どれが一番良いか」を比べようとすると、判断が難しくなります。

本来考えるべきなのは、「いま自社はどこで困っているのか」です。

そもそも見込み顧客に知られていないのか。Webサイトには来ているのに問い合わせにつながっていないのか。展示会で名刺は集まっているのに、その後のフォローができていないのか。問い合わせはあるのに商談になっていないのか。過去の見込み顧客を放置してしまっているのか。

課題の場所が違えば、優先すべき施策も変わります。

だから、施策の優先順位は「流行っているか」や「他社がやっているか」ではなく、「いま自社の売上までの流れの中で、どこが弱いのか」から決める必要があります。

処方箋(改善策)

今回のように、広告、SEO、展示会、メルマガのどれから手をつけるべきか迷ったときは、まず施策を4つの役割に分けて考えてみましょう。

1つ目は、見込み顧客に知ってもらうための施策です。SEO記事、広告、展示会、プレスリリース、SNSなどがここに入ります。まだ自社を知らない人に接点を持ってもらうための施策です。

2つ目は、問い合わせや資料請求につなげるための施策です。サービスページ、ランディングページ、フォーム、ダウンロード資料、セミナーなどがここに入ります。知ってもらった人に、次の行動を取ってもらうための施策です。

3つ目は、商談につなげるための施策です。問い合わせ後の初動対応、インサイドセールス、営業資料、個別相談、デモ、見積もり対応などがここに入ります。見込み顧客の関心を、具体的な商談へ進めるための施策です。

4つ目は、一度接点を持った見込み顧客との関係を続けるための施策です。メルマガ、ステップメール、セミナー案内、事例紹介、休眠顧客への再アプローチなどがここに入ります。

この4つに分けると、施策の見え方が変わります。

広告、SEO、展示会、メルマガは、同じ役割の施策ではありません。広告やSEOは新しい接点を作る役割が強く、展示会は新しい接点と商談のきっかけを作る役割があります。メルマガは、一度接点を持った人との関係を続ける役割があります。

次に、自社がどこで詰まっているのかを確認します。

そもそもWebサイトへのアクセスや展示会での接点が少ないのであれば、認知や接点づくりの施策を優先する必要があります。この場合は、SEO、広告、展示会などが候補になります。

アクセスや名刺はあるのに問い合わせが少ないのであれば、サービスページ、資料ダウンロード、フォーム、CTAなどを見直す必要があります。この状態で広告費だけを増やしても、問い合わせにつながりにくい可能性があります。

問い合わせや名刺はあるのに商談にならないのであれば、営業への受け渡しや初動対応、フォローのルールを整える必要があります。

過去の問い合わせや展示会名刺があるのに放置されているのであれば、メルマガや再アプローチの仕組みを作ることが優先になります。

今回の会社の場合、過去の展示会名刺や問い合わせ履歴が約2,000件あります。Webサイトにも一定のアクセスがあります。つまり、まったく接点がないわけではありません。

それにもかかわらず新規商談が増えていないのは、すでにある接点を次の行動につなげられていないことが大きな要因だと考えられます。

そのため、まずは既存リストへのメルマガ配信と、反応があった見込み顧客への営業フォローを整えるところから始めるのがよいでしょう。

ただし、メルマガだけで十分という意味ではありません。

短期的には、既存リストへの情報提供と営業フォローを整える。並行して、広告は少額でテストし、商談につながりそうなキーワードや訴求を確認する。SEOは中長期の資産づくりとして、見込み顧客が検索する課題に合わせて記事を作る。展示会は、出展前後のフォロー設計を見直す。

このように、施策を単体で選ぶのではなく、目的と時間軸に分けて組み合わせることが大切です。

明日からできること

まずは、候補に挙がっている施策を紙やスプレッドシートに書き出してみてください。

広告、SEO、展示会、メルマガ、サービスページ改善、資料ダウンロード、問い合わせ後の営業連絡など、思いつくものをすべて並べます。

次に、それぞれの施策について、次の4つを確認します。

「何のための施策か」
「どの顧客に向けた施策か」
「成果が見えるまでの時間は短期か、中長期か」
「いま自社にある資産を活かせるか」

たとえば、広告であれば、目的は「今すぐ課題を持って検索している見込み顧客をWebサイトに呼び込むこと」です。成果が見えるまでの時間は比較的短期です。ただし、広告費が必要であり、受け皿になるページや問い合わせ後の対応が整っていることが前提になります。

SEOであれば、目的は「見込み顧客が課題を調べている段階で接点を作ること」です。成果が見えるまでの時間は中長期です。すぐに商談を増やすというより、将来の接点を積み上げていく施策です。

展示会であれば、目的は「短期間で多くの見込み顧客と直接接点を持つこと」です。ただし、名刺を集めるだけで終わらないように、会期後のフォローまで決めておく必要があります。

メルマガであれば、目的は「一度接点を持った見込み顧客との関係を維持すること」です。過去の展示会名刺や問い合わせ履歴がある会社では、比較的始めやすい施策です。

このように整理したうえで、最初に取り組む施策を決めます。

判断のポイントは、「今ある資産を活かせるか」と「売上までの流れの中で、どこを改善できるか」です。

すでに名刺リストや問い合わせ履歴があるなら、まずはメルマガや営業フォローの仕組みを整える。Webサイトに一定のアクセスがあるなら、サービスページやCTAを見直す。今すぐ課題を持っている顧客を取りに行きたいなら、広告を少額でテストする。中長期で安定した接点を増やしたいなら、SEO記事に取り組む。

最初からすべてを完璧に進める必要はありません。

まずは、今ある施策と資産を整理し、短期で取り組むものと中長期で育てるものを分けてみてください。

※空欄を埋めるだけで、記事で紹介した内容をすぐに試せるサンプルシートを用意しました。

「施策優先順位整理シート」は、広告、SEO、展示会、メルマガなどの候補施策について、「何のための施策か」「主な対象」「成果が見える時間軸」「活かせる既存資産」「現状の課題」「最初の一歩」を整理し、どこから優先的に取り組むべきかを考えるためのシートです。

施策名だけで判断するのではなく、自社の現状や使える資産、短期・中長期のバランスを見ながら優先順位を考えたいときのたたき台として使えます。

まずは候補になっている施策をこのシートに並べてみてください。比較してみることで、「今やるべき施策」と「後回しでもよい施策」が見えやすくなります。

▶︎▶︎ダウンロード:施策優先順位整理シート(サンプル)

AIを使って、優先順位整理のたたき台を作る

施策の優先順位を考えるときは、AIを壁打ち相手として使うのも有効です。

ただし、いきなり「広告、SEO、展示会、メルマガのどれをやるべきですか?」と聞くと、一般論の回答になりやすくなります。

AIに相談する前に、まずは自社の状況を箇条書きで整理します。

たとえば、次のような情報です。

・会社の業種、商材、主な顧客
・営業担当者の人数
・マーケティング担当者の人数
・Webサイトの月間アクセス数
・月間問い合わせ件数
・月間商談件数
・過去の展示会名刺や問い合わせリストの件数
・現在実施している施策
・直近で増やしたいものが、問い合わせなのか、商談なのか、受注なのか

そのうえで、AIに次のように依頼します。

「当社は、工場向けの検査機器を販売しているBtoB企業です。営業担当者は6名、マーケティング担当者は1名です。Webサイトの月間アクセス数は約4,000、Web問い合わせは月5〜6件、そのうち新規商談につながるものは月2〜3件です。過去の展示会名刺や問い合わせ履歴は約2,000件ありますが、定期的なフォローはできていません。候補施策として、Web広告、SEO記事、展示会、メルマガ、サービスページ改善を考えています。施策優先順位整理シートを埋めた上で、新規商談を増やすために、どの施策から優先すべきかを整理してください。」

このように依頼すると、AIが施策優先順位整理シートのたたき台を作ってくれます。

さらに、出てきた回答に対して、次のように追加で依頼すると、より実務に近づきます。

「優先順位の理由を、短期で成果が見えやすいもの、中長期で育てるもの、今ある資産を活かせるものに分けて整理してください。」

「最初の1か月でやることを、週ごとのタスクに分けてください。」

「マーケティング担当者1名でも実行できるように、作業量が多すぎる施策は後回しにして、現実的な優先順位を教えてください。」

「この優先順位を上司に説明するための文章にしてください。」

AIを使うと、最初の1か月の実行計画、上司への説明文などのたたき台も短時間で作ることができます。

ただし、AIが出した優先順位をそのまま採用する必要はありません。自社の営業体制、商材の単価、検討期間、既存顧客との関係性などは、社内の人間でなければ判断しにくい部分もあります。

AIでたたき台を作り、人が現実に合わせて調整する。

この使い方であれば、担当者が1人しかいない中小BtoB企業でも、施策の優先順位整理を進めやすくなります。

今回のまとめ

広告、SEO、展示会、メルマガのどれから手をつけるべきか。

この問いに、どの会社にも共通する一つの正解はありません。

広告が向いている会社もあります。SEOを優先すべき会社もあります。展示会を強化した方がよい会社もあります。メルマガから始めた方がよい会社もあります。

大切なのは、施策名から考えないことです。

「広告をやるべきか」「SEOをやるべきか」ではなく、自社の売上までの流れの中で、どこが弱いのかを見ることです。

まだ見込み顧客に知られていないのか。Webサイトには来ているのに問い合わせにつながっていないのか。展示会で名刺は集まっているのに、その後のフォローができていないのか。過去の問い合わせや名刺リストを活かせていないのか。

課題の場所が変われば、優先すべき施策も変わります。

今回のケースでは、すでにWebサイトへのアクセスがあり、過去の展示会名刺や問い合わせ履歴もあります。それなら、まずは今ある接点を活かすことから始めるのが現実的です。メルマガで情報提供を始め、反応があった見込み顧客を営業がフォローする。そこから商談のきっかけを作っていく。

そのうえで、広告は短期の検証、SEOは中長期の資産づくり、展示会はフォロー設計まで含めた接点づくりとして位置づけると、優先順位が見えやすくなります。

どの施策をやるかよりも、何のためにやるか。

施策の優先順位は、そこから考えることが大切です。

※Webマーケティングクリニックでは、読者のみなさまからのご相談を募集しています。
今後取り上げてほしいテーマがありましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお寄せください。
記事の内容に関するご感想やご意見もお待ちしています。

お問い合わせフォーム:
https://forms.gle/Hce543DsTJ9w1vcSA

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ株式会社)に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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