Webサイトリニューアル時に見落としがちなマーケティング視点5選

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

Webサイトのリニューアルは、企業にとって数年に一度あるかどうかの大きな取り組みです。見た目を整え、情報を整理し、スマートフォン対応やCMS刷新などを行うことで、「これでようやく今の時代に合ったサイトになる」と感じる方も多いでしょう。一方で、リニューアル後に「問い合わせが思ったほど増えない」「検索流入が減ってしまった」「データがうまく取れず改善できない」といった声が出てくるケースも、決して珍しくありません。

こうした状況は、担当者の努力不足や制作会社のスキル不足が原因というよりも、リニューアルの設計段階でマーケティング視点が十分に考慮されていなかったことから起きることがほとんどです。デザインは丁寧に作り込まれているのに、リード導線が弱くなっていたり、SEO評価の引き継ぎが後回しになっていたり、CVや計測の考え方が抜けていたりと、細かなズレが積み重なり、問題が発生します。

また、Webサイトを「作るプロジェクト」として捉えてしまうと、公開がゴールになりやすく、その後の改善や運用が想定されないまま終わってしまいます。しかし、マーケティングの視点で見ると、サイトは完成してからが本番です。流入を集め、行動を促し、数字を見ながら少しずつ調整していくことで、最良の結果につながります。 本記事では、Webサイトリニューアル時によく起きる失敗をもとに、「見落としがちなマーケティング視点」を整理しました。これからリニューアルを予定している方も、すでに進行中の方も、Webサイトリニューアルをより良い成果につなげるためのヒントとしてご一読いただければ幸いです。

目次

視点1:リード獲得導線の消失

Webサイトリニューアルでよく起きやすい事象の1つが「リード導線の消失」です。デザイン刷新の段階ではビジュアルや余白設計、ブランド表現が議論の中心になりやすく、気づくと問い合わせボタンや資料請求リンク、ホワイトペーパーダウンロード、メルマガ登録、デモ申込といった「リード入口」が目立たない位置に移動、あるいはページから削除されてしまうことがよくあります。ユーザー体験としては洗練されていても、ビジネス成果につながる接点が細くなり、結果として「サイトは綺麗になったのに問い合わせは減った」という現象が起きてしまいます。

弊社で実際に見た事例としては、旧トップページのファーストビュー直下に資料請求CTAがあった製造業企業が、ヒーロー画像中心の構成に変えた結果、CTAが画面3スクロール目以降へ移動してしまい、結果としてクリック率が半分以下になったというケースがありました。あるいは、複数あった製品ページを統合して情報を1ページにまとめたものの、CTAも1か所だけに統合したことで「導線が1本道の待ち伏せ型」になり、ユーザーが途中で興味を持ってもアクションできず離脱率だけが上昇したというケースもありました。

リード導線はリニューアル要件の中核として定義しておくべき重要な内容です。リニューアル前に「誰をどのアクションへ導くか(例:潜在層はメルマガ登録、検討層は資料請求、顕在層はお問い合わせなど)」を整理し、CTAの数・配置・視認性・計測KPI(CTAクリック率、フォーム離脱率など)までセットで設計しておくと、リニューアル後の成果も計りやすくなります。

視点2:SEO評価の引き継ぎ設計

Webサイトリニューアルは新しく作る工程が注目されがちですが、SEOの観点では「継承設計」が成果を大きく左右します。旧サイトには、長年蓄積された検索エンジンからの評価資産があります。被リンク、インデックス済みURL、ブログ記事、カテゴリ階層、内部リンク構造、そしてユーザーの検索意図に沿って育ってきたコンテンツ群などです。これらを正しく引き継げないと、流入の断絶や順位下落が発生し、リード導線が生きていても「入り口に人が来ない状態」を招いてしまいます。

よくある例が、URL構造の変更に伴う評価リセットです。新URLへ変えること自体は問題ではありませんが、リダイレクトなどを適切に設定しなければ検索エンジンは新旧の関連性を理解できず、評価がゼロから再スタートしてしまいます。また、リニューアル直後にXMLサイトマップを更新してSearch Consoleへ再提出しないと、クロールの再設計が行われずインデックスの空白期間が生まれてしまいます。

リニューアル時のSEOは「再スタート」ではなく「評価の継承と強化」です。「旧URLリストの棚卸し」「リダイレクト設計」「XMLサイトマップ更新→Search Consoleへ提出」「主要キーワード順位をリニューアル前後で比較できるKPIとして定義」など、技術的には様々な工程が存在しますが、一つ一つを漏れなく丁寧に実施していきましょう。

視点3:コンバージョン(CV)設計の再定義

Webサイトをリニューアルするとき、意外と見落とされるのが「CVの定義そのものの見直し」です。サイト構造やデザインは新しくなるのに、コンバージョン設計だけが旧来のまま進んでしまい、結果として成果がなかなか出ないケースがよくあります。マーケティング部門と制作部門の間で「サイトがどんな成果を担うべきか」の共通言語がないままプロジェクトが進むと、CV設計の前提が揃わず、リニューアル後に「こんなはずではなかった」と後悔をすることが少なくありません。

たとえば「複数の製品ページを1ページに統合して情報は見やすくなったのに、CTAは1つだけになり、ユーザーが途中でアクションできるポイントが激減した」「ページ階層を整理したらフォームが深い階層に入り、検討段階のユーザーが到達しにくくなった」「とりあえず入れていた問い合わせフォームを残しただけで、顧客の温度感に合わせたCV設計になっていない」といったような例です。

Webサイトリニューアル時は、CVの再定義→CVの配置設計→導線設計→計測KPI設計を一連のセットで考えるようにしましょう。CV設計は単なるフォーム設置ではなく「最終成果の出口を戦略的に設計する行為」です。CV設計を考え直すことで、サイトは見た目が良くなるだけでなく「成果が出やすい装置」へと変わります。

視点4:タグ/データ計測の抜け漏れ

タグ実装、MA・広告・GA4連携などの計測設定がWebサイトリニューアル要件から抜け落ちてしまい、リニューアル後にデータが欠損・断絶し、PDCAが回せなくなるような問題もよく発生します。

たとえば「旧サイトでは広告経由の問い合わせ数を追えていたのに、新サイトで広告CVタグを再実装しなかったため成果がブラックボックス化」「MAの計測タグを設置し忘れて、アクティビティがトラッキングできなくなった」「GA4タグは入れ直したが、CTAクリックやフォーム到達、フォーム離脱、スクロール到達などのイベント計測が未設計のままだった」といったような例です。これらは技術的に高度な問題という訳ではなく、計測仕様がWebサイトリニューアルの議論の外に置かれて忘れ去られてしまったために起きる事故です。

リニューアル前後できちんと各種数値を比較できる状態にしておくことは、成果最大化の土台になる大切なポイントです。リニューアルは「見た目の更新」だけでなくタグ/データ計測の観点も忘れずに押さえておくと、ローンチ後も改善サイクルを止めることなく、スムーズに運用が可能になります。

視点5:「作って終わり」ではなくPDCAを回す

Webサイトリニューアルでは、「完成した瞬間がゴール」になってしまうことがよくあります。公開直後は社内外から「きれいになった」「見やすくなった」という声が集まり、プロジェクトとしては一区切りついたように感じます。しかし、数週間から数か月が経つと、問い合わせ数が伸びない、想定していたCVに届かない、どこを直せばよいのか分からない、といった状況に陥るケースは少なくありません。これはデザインやコンテンツの良し悪しというより、最初から改善を前提とした設計になっていなかったことが原因で起きる失敗です。

たとえば、リニューアル後のKPIが定義されておらず「何をもって成功・失敗とするのか」が曖昧なままローンチしてしまうケース。あるいは、前述の計測タグの入れ忘れによってそもそも改善のヒントが数字として見えないケース。さらに、誰がどの頻度で数値を見て、どこまで手を入れるのかが決まっておらず、「とりあえず様子見」が常態化してしまうこともよくあります。

改善前提の設計とは、難しい仕組みを作ることではありません。リニューアル前後で比較する指標を決め、最低限のKPI(例:問い合わせ数、CTAクリック率、フォーム到達率、自然検索流入)を定義し、数字が悪かった場合に「どこを見るか」「誰が判断するか」をあらかじめ決めておくことです。さらに、テキスト修正やCTA位置変更など「小さく試せる余地」を残した設計にしておくことで、ローンチ後の改善が現実的になります。

Webサイトリニューアルは完成して終わるプロジェクトではなく、成果を積み上げていくスタート地点です。「作って終わり」にならないためには、最初から改善することを前提に、数字と運用の動線まで含めて設計しておくことが、結果的にサイト投資を無駄にしない一番の近道になります。

さいごに

Webサイトリニューアルは、どうしても「新しくすること」や「整えること」に意識が向きやすい取り組みです。それ自体は決して悪いことではありませんが、マーケティングの成果という観点では、見た目以上に重要なポイントが数多く存在します。本記事でご紹介した5つの視点は、どれもリニューアルの現場で実際によく起きている失敗から整理したものです。

これらはすべて、技術的に難しい話というよりも、リニューアルをどう捉えるかという考え方の問題が大きいです。サイトを完成品として扱うのか、それとも成果を育てていくための土台として扱うのか。その違いが、数か月後、数年後の成果に大きな差を生みます。

改善前提で設計されたサイトは、公開後も数字を見ながら手を入れることができ、状況に応じて柔軟に成長させていくことができます。一方で、改善の余地がない設計になってしまうと、「なんとなく成果が出ないけれど、どこを直せばいいのか分からない」という状態に陥りがちです。

これからWebサイトをリニューアルする際は、ぜひデザインや機能の話だけでなく、「このサイトで何を改善し続けたいのか」「そのために何を計測し、どう判断するのか」というような視点も一緒に整理してみてください。それだけで、リニューアルは単なる刷新ではなく、ビジネスゴールの達成につながる営みになるはずです!

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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