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企業のX運用、炎上したら「削除」はNG?プロの実体験に学ぶ
投稿日:2026年2月24日SNSの沼ラジオ

「炎上してしまった投稿は削除した方がいい?」
企業アカウントの担当者なら、一度は不安に思ったことがあるはずです。この記事では、一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が運営する「SNSマネージャー養成講座」の資格者4人が、ポッドキャスト「SNSの沼ラジオ」第6回で語ったX(旧Twitter)運用の実践知をまとめます。
音声本編はこちらから聞けます。
▶ SNSの沼ラジオ 第6回「ビジネスでXを使いこなすには/炎上しても『削除』はNG?」
先に要点を言うと、削除するかどうかに絶対の正解はありません。実際に2度の炎上を経験したX担当・伊藤の答えは「消さずに、触れずに、様子を見る」でした。その理由を、企業アカウントの基本設計から順に見ていきます。
この記事を書いた人(「SNSの沼ラジオ」メンバー)
- 伊藤雅恵(チーフSNSマネージャー/X担当)
- 中野彩子(上級SNSマネージャー/LinkedIn担当)
- 川﨑亜紀子(上級SNSマネージャー/X担当)
- 毛利美佳(チーフSNSマネージャー/Instagram担当)
企業がXを運用するなら、有料プラン以上がおすすめな理由
Xは2023年7月まで「Twitter」という名前でした。経営者のイーロン・マスク氏が手がける宇宙開発企業スペースXなどとブランドを揃える形で、社名がXへ変わっています。配信当時の公開データによると、月間アクティブユーザー数は日本国内だけで6700万、世界では5億5000万(さらに増えているとも言われています)。ユーザー層は10代後半〜20代がやや多いものの、40代以上も幅広く利用しているプラットフォームです。
企業として本格的に運用するなら、無料アカウントより有料プラン(プレミアム)以上が向いています。理由は次の三つです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| アナリティクスが見られる | 投稿の表示回数、エンゲージメント率、プロフィールのクリック数など、改善に必要なデータを確認できる |
| 表示の優遇 | アルゴリズム上、返信の表示や拡散面で優遇される |
| 信頼性 | なりすまし対策や公式性の担保になる。金バッジ(組織認証)はハードルが高いが、青バッジが付いているだけでも安心材料になる |
長文投稿や投稿後の編集、便利機能「X Pro」が使えるようになる点も含め、事業目的で使うなら「投資」として考えたほうがいいというのが、担当者たちの共通見解です。
X担当の伊藤は、他のSNSと比べた運用のしやすさをこう補足します。写真や動画がなくても、テキストだけで運用できる点が「非常にやりやすい」。フォロワー数が多くなくても、意図したターゲットに情報が届きやすいという実感もあるといいます。「アナリティクスを見るのが怖い」というクライアントに対しては、実際に数字を見てもらうことで「この投稿が良くて、この投稿が悪いのはなぜか」を自発的に考えるようになり、運用が楽しくなっていく様子をよく見るそうです。
Instagram担当の毛利も、Xの魅力を「テキストだけで投稿できる手軽さ」と表現します。Instagramには今も投稿への心理的ハードルを感じる一方、Xは「息を吸って吐くように投稿できる」。自分の意見を発信できるぶん、共感した相手とつながりやすく、実際に交流や仕事につながった経験もあるといいます。
炎上したときの動き方――「削除しない」という選択
Xの強みである拡散力は、そのまま炎上のリスクにもなります。伊藤は、クライアントの了承を得たうえで、同じアカウントで2度の炎上を経験した事例を紹介しました。
1回目は、夜中に投稿した内容が炎上。インプレッションとリポストが際限なく伸び、通知が鳴りやまない状況に運用担当者が怖くなり、投稿を削除しました。伊藤は「次は気をつけましょう」と伝えるにとどめたといいます。
半年後、同じアカウントで2度目の炎上が発生。今度は削除せず、炎上した投稿に触れずに様子を見る方針をとりました。攻撃的なコメントを寄せた相手が他の投稿にも同様のコメントを付けて回るなかでも反応せず、平静を保つことに徹したところ、1週間ほどでインプレッションの高まりは落ち着いていきました。
10日ほど経ってから改めてコメント欄を見返すと、否定的な意見に同調する声は実は少数で、応援するコメントのほうが多かったことが分かったといいます。この経験をきっかけに、同じ趣旨で繰り返し使っていた投稿文について、伝えたい内容は変えずに、読み手が嫌な気持ちにならないよう言い回しだけを見直したそうです。
「知らない人から通知がガンガン来る恐怖は、それまでの人生で経験したことがない」と伊藤。慌てて消したくなる気持ちは自然な反応としつつも、削除を急がず一定期間様子を見る選択肢があることを、実体験として共有していました。
忙しくて時間がない、毎日投稿しないとダメ?
今回のQ&Aは「忙しくてSNSにかける時間がありません。毎日投稿しないとダメですか?」という質問です。
| 担当者 | 視点 | 具体的な考え方 |
|---|---|---|
| 毛利(Instagram) | プラットフォーム特性 | InstagramやFacebookは週3回でも十分。Xは投稿が埋もれやすいため、毎日投稿が望ましい |
| 川﨑(X) | 目的の明確化 | 頻度を考える前に「何のためにやっているか」を明確にすれば、最適な頻度は自然に決まる |
| 伊藤(X) | 時間の確保 | 「毎日投稿しなければ」で思考を止めず、投稿・予約作業に使う時間そのものを確保する |
毛利は、SNS運用を「短距離走ではなくフルマラソン」にたとえます。毎日全力で投稿して途中で力尽きてしまっては本末転倒。そもそもなぜSNSを始めたのかを確認し、走り続けられる工夫を考えることが大切だといいます。
川﨑も「まず目的を明確にすること」を重視します。実際に多いのは、毎日投稿できないことより、「3日に1回」と決めたはずが3日目には面倒になり、そのまま放置されてしまうケースだといいます。
伊藤は、時間の確保という具体策を示しました。8時間の勤務すべてをSNSに充てるのは現実的ではありません。運用方針を考える時間と、予約投稿などの作業時間をあらかじめスケジュールに組み込み、プラットフォームごとに必要な時間配分を把握できる人を置くことが大事だといいます。3人に共通するのは、「企業のSNS運用は片手間ではなく仕事である」という認識です。
まとめ
Xを企業アカウントとして運用するなら、有料プランでアナリティクスを確認しながら、目的に応じた投稿頻度を設計すること。そして、炎上時は削除を急がず、一定期間様子を見るという選択肢を持っておくこと。今回の回からは、そうした現場の判断基準が見えてきます。
こうしたSNSごとの運用設計や、炎上・トラブル対応の考え方は、WACAの「SNSマネージャー養成講座」で体系的に学べます。
「SNSの沼ラジオ」は、SNSマネージャーの4人がSNS運用のリアルを語るポッドキャストです。放送時間は1回15分程度です。通勤中やランチタイムにもどうぞ。
SNSの沼ラジオ 中の人紹介
中野彩子 https://www.linkedin.com/in/ayako-nakano-74b99b28
