BtoBはSNSに向かない?マーケティングやブランディング、広報の定義から考えてみよう
投稿日:2025年8月10日

こんにちは、藤原忍です。SNSマネージャーカリキュラム委員長、上級ウェブ解析士カリキュラム委員としても活動しています。
SNSの講座やセミナーで頻繁に受ける質問の一つが以下。
「BtoBでSNS運用って意味があるのですか?」
なぜそう思うのでしょうか?
理由①「BtoCみたいにフォロワーや反応が伸びない」
BtoCの成功事例と比較してしまっているのかもしれません。一般消費者が対象のBtoCは潜在フォロワー数が多く、いいねの数も伸びます。これに対しBtoBは市場規模が狭く、伸びが緩やかです。
マーケティングとは――
顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
(日本マーケティング協会2024、強調は引用者)
価値を広く浸透させるためにSNSは有効ですが、誰に届けたいでしょうか?
BtoBの顧客は取引先の企業だけでなく、その先のエンドユーザー、業界関係者、行政や地域団体など多層的です。多様な層に自社の強みや実績、価値を継続的に発信できる場がSNSなのです。
大事なのはフォロワー数よりも、狙った相手に価値が届いているかどうか。匿名のアカウントで貴社の投稿を見ているかもしれません。いつもそれを意識しましょう。
理由②「バズらないと意味がないのでは?」
BtoBの商品やサービスは専門性が高く、一般的にバズは起こりにくいもの。したがってSNSを使っても意味がないと思うかもしれません。
しかし、BtoB企業はそもそもバズ狙いのSNS運用をすべきではありません。
ブランディングとは――
企業が製品・サービスによって提案したいブランド独自の価値「ブランド・アイデンティティ」と、 消費者・顧客が心の中に抱く心象「ブランド・イメージ」を近づけ、一致させる活動
(ブランド・マネージャー認定協会)
いつ起こるか分からないバズを狙うよりも、一貫性のある継続的かつ意図的な発信で価値を伝え「この会社は◯◯だ」「◯◯といえばこの会社」と思ってもらえるようになることが大事なのです。
理由③ 「商談は結局オフラインだし、SNSで売上は増えない」
BtoBの購買プロセスは長く、SNSへの投稿が受注に直結することは確かに少ないです。営業は対面が基本という文化では、SNSの役割をイメージしにくいかもしれません。このため「すぐには案件につながらない=効果が薄い」と考えるのかもしれません。
しかし、商談の前段階で相手方のSNSアカウントや投稿を確認したことがある人もいるのではないでしょうか。
広報とは――
組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。
(日本広報学会2023、強調は引用者)
SNSで理念や実績、社内の取り組みを継続発信しておけば、初対面の商談相手も事前に企業像をつかむことができます。結果として商談がスムーズになりますし、既存顧客にも「この会社は今も活発に活動している」と安心感を与えることができます。
マーケティング、ブランディング、広報の定義ではいずれも、顧客や業界関係者、パートナー、地域社会など、多様なステークホルダーと良好な関係を築き、維持し、価値を共有することを目的としています。
SNSは関係構築に非常に適したメディアです。なぜなら、日常的かつ低コストで情報発信と双方向のやり取りができ、長期的な信頼形成につなげられるからです。
BtoBこそ、SNSを活用してステークホルダーとの接点を広げていくべきなのです。
こうした関係づくりは採用活動でも同じです。SNS内で就職先の候補を検索する人に見つけてもらうためにも、SNS運用はしっかり行いましょう。
上級SNSマネージャー養成講座では「運用企画書」を作成し、目的やターゲットを確認しながら運用方針や危機管理などをまとめていきます。BtoB企業の方もたくさん受講してくださっていますよ。
